学校における不登校解決アプローチとしての母子並行サポート
解決過程における母子関係の変遷
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加藤 裕子
1、
問題及び目的
不登校の問題においては、母子の関係が混乱して双方が孤立し、それを支えるはずの担任までもが対応に苦慮して孤立している傾向にあると考えられる。そこで、学校組織を機能的有効的に生かして、子どもや母親(中心となる養育者)を個別にサポートし、不登校問題の根本的な解決を目指す方法として、「母子並行サポート」法を考案した。この方法では、教育相談係等が母親面接を実施することによって母親をサポートし、担任や養護教諭等が家庭訪問やその他の働き掛けをすることによって子どもをサポートする。そして、その関係のダイナミクスによって母子双方の成長・発達を促し、母子の相互の関係を調整しながら、子どもと学校との関係形成も図ろうとするのである。
そこで、本研究では、次のことを行う。
@ 「母子並行サポート」法を用いて解決した事例において、その方法の効果を確認するための評価カテゴリーを抽出して検討し、その出現の時間的変化を分析して母子及び学校における三者の関係の改善の様子を検討する。
A 抽出された評価カテゴリーを用いて、別の事例でも同様の変化が観察されるかどうかを検討すると同時に方法の妥当性を検討する。
B「母子並行サポート」法を実施する際に、問題の状況を査定したり変化過程を評価しりするための「母子並行サポート法 チェックリスト」を、抽出されたカテゴリーをもとにして作成する。
2、
研究の方法
(1)筆者が勤務している小学校において教育相談係としてあるいは現職教員の大学院生として定期的な母親面接と担任に対するコンサルテーションを実施した不登校の事例Tから、評価カテゴリーを抽出し、その出現状況と時間的な変化を検討する。カテゴリーの抽出は、母親面接の記録や担任からの報告をもとに行う。1回ごとの面接を区切りにして、記録や報告に出現しているカテゴリーを分類、整理し、時間的な変化の様子を検討する。
(2)事例Tのしばらく後に筆者が対応した事例Uについて、研究Tで抽出されたカテゴリーを用いて、事例Tと同じようにして母親面接の記録や担任からの報告を分析して時間的な変化の様子を検討し、方法の妥当性を検討する。
(3)事例Tで抽出されたカテゴリーを用いて、「母子並行サポート法 チェックリスト」を作成する。母子の発達課題を把握するための「査定用チェックリスト」と変化の過程を客観的に把握するメタ評価用の「変化過程評価用チェックリスト」を作成する。
3、
解決過程における母子関係の変遷
(1)
事例Tにおける評価カテゴリーの抽出と母子の態度変化
「母子並行サポート」法の枠組み P T 校長 M C Cが母親(M)との定期的な面接を実施しながら、Tは子ども(P)との関係形成を図る。 事例Tの場合は担任の家庭訪問の実施によって子どもと学校との関係形成を考えたが、事例Uでは養護教諭が子どもに働き掛けて保健室への登校を促し、その後に教室へ行くことを担任からPに働き掛けた。
Table1 事例T 抽出されたカテゴリー
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Table3 事例T カテゴリーの+−への分類
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Table2 事例T 母子の態度変化の過程(カテゴリーの出現状況)
不登校の問題が解決していく過程の中で、混乱に向かう傾向のあるカテゴリーを「−」とし、解決に向かう傾向のあるカテゴリーを「+」として、時間的な経過の中でその出現の様子を、学校の対応と関わらせながら検討すると、大きく五つの時期に区分された。
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発生期・混乱期には登校刺激を与えないが、母子の関係が安定し、学校への復帰を目指す安定期・志向期には母子の関係の様子を見ながら、登校刺激を与える。
Fig.1 事例Tの時期区分
Table4 事例Tの時期区分
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(2) 事例Uにおける評価カテゴリーの適用と母子の態度変化
Table5 事例Uの時期区分
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事例Uにおけるカテゴリーの出現状況の変化、つまり母子の態度変化は、事例Tと共通した変化の過程を経ているといえる。そして、その変化の過程は事例Tと同じように五つの時期に区分され、Table5のように示すことができる。
Table6 事例U 母子の態度変化の過程(カテゴリーの出現状況)
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(3)
不登校の時期に応じた学校の対応
@
発生期 母親面接を開始し、問題の状況を深く理解する。登校刺激は与えない。
A
混乱期 母親の不安を取り除き、母子関係の回復を目指す。子どもの発達を促す。
担任との関係形成を図る。登校刺激は与えない。
B
安定期 母子や家族の関係が安定して子どもに成長が見られたら、登校刺激を与
える。
C
志向期 登校刺激を与え、学校生活への復帰を目指す。クラスの子どもとの関係
形成を図る。
D
回復期 子どもが学校生活に復帰して、母子関係や家族の生活が安定している
Table9母子並行サポート法チェックリスト
ことを確認する。母親面接を終了する。
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4、
まとめ
(1)事例T・Uにおける不登校の発生と解決
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