第1回の分析


 第1回では『スタッフ』が最も多く使われており、全てスタッフから児童Aへの働きかけについての記述であった。スタッフの働きかけの多くは児童Aに何かを質問することであったため、スタッフに何かを聞かれて『答える』も頻出したようだ。また、他の児童から児童Aへの働きかけの記述はなかった。つまり、この回ではスタッフから児童Aへという方向の関わりが多かったと言えるだろう。
 
 一方、児童Aから他者への関わりを見てみると、『自分』が関係していることが明らかとなった。自発的行動に着目した記述が多く、その内容は「話している人の方を向く」「発言する」が主であった。
 体の向きについては、『司会者』が関係しており、全体で話を聞くときの児童Aの態度についての記述が多かった。司会者が前に立つと、前半では自分から体を司会者の方へ向け注目していることが多いが、後半では司会者が話し始めてもおしゃべりをしている場面があった。つまり、前半では自発的に話す人の方を向くことができていたが、後半ではそれがあまりできていなかった言える。
 発言についての文章には、『言う』が使用されており、その主体は全て児童Aであった。発言内容の多くは、「はい」「さよなら」など形式的な言葉であり、意見や考えではなかった。また、それ以外の発言は誰か特定の人に向けての発言ではなく、独り言のようであった。
 
 これらのことから、話を聞くなど一人でもできる行動に対しては積極的だが、発言をするなどの他者と関わる行動に対しては消極的であることがわかる。しかし、活動が終わりに近づくにつれ、きちんと話を聞くことが減り発言が増えている。この原因は、活動に参加する中で児童Aが次第に環境に慣れてきたからだと考えられる。第1回の活動であったため、初対面の相手に対して緊張・不安などの感情を抱いていたのであろう。このことは、『笑う』が、楽しくて笑っているというよりも緊張している様子を表していたことからもわかる。
 また、『声』は、「声の大きさ」についてと、「言う」の意味で使われているものの2種類があり、どちらも初めの方は消極的な行動を表しているが、終わりの方になると積極的な行動になっている。このことも、緊張が緩和されてきたことの表れだと考えられる。第1回の活動では自己紹介を取り入れたゲームを行ったので、グループのメンバーのことを知ることができ、緊張がほぐれたのだろう。
 
 『話』は、「司会者の話」や「話題」という意味での使われ方をしているものがほとんどで、児童Aが話しているという記述は1つしかなかった。
 
 
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