まとめ
 
 4回の活動を通して、他者との関わり方に変化がみられる。第1回ではほぼスタッフとのみの関わりで、方向もスタッフから働きかけていたが、回を重ねるごとにグループのメンバーとの関わりが増えてきていることがわかった。
 発言も回が進むにつれ多くなっているが、自分が言いたいことを言っているだけのことが多く、グループで協力して話し合いをしている場面はあまり見られなかった。スタッフの感想からも、初めの頃は児童Aを含め、話し合いではなく意見発表会になってしまっていたことが伺える。
 ふり返りシートの記録を見ると、第5回に「いっぱい話し合いができて楽しかった」という記述があるが、この回ではワークシートを使い考えたことを書かせ、それを元にシェアリングを行ったため、児童たち全員が自分の意見をしっかり発表することができた。そのことを考慮すると、自分の意見を最後まで言うことができ、それをみんなに聞いてもらえた経験が満足感を与えたのだと考えられる。自分の意見をそれぞれの児童が発表しあうシェアリングだったので話し合いとは少し違うが、最後まで自分の意見を話すことは気持ちがいいと気づけたことは収穫だったと言えるだろう。
 相手に聞いてもらえると、より気持ちがいいことに気づき、相手に伝えようと心がけるようになることはこれからの課題である。しかしながら、第1回のふり返りシートに「えんぴつゲームは協力しないとできないことがわかった」と記述しており、協力することの大切さには気づきかけているようである。話し合いの場にも協力が必要だと感じるような働きかけを今後していく必要があるだろう。
 発言そのものが増えた原因は明らかではないが、環境に慣れたことが一番の要因だったと考えられ、この活動が直接影響しているとは言い切れないだろう。しかし、「環境になれたというのもあると思いますが、ゲームへの熱中から、自然と声が出るようになっていった感じがしました」というスタッフの感想もあり、児童が参加したいと思える活動を提供できたことや、グループ内の関係が良好であったことが伺える。
 グループでの発言は徐々に増えてきているが、全体の場での発言はあまりみられない。児童Aに限らず、他の多くの児童も全体での発表をしたがらない傾向にある。学校の授業のように「正しいことを言わなければならない」と思い込んでいることが原因ではないかと推測される。
 聞くスキルについては、第1回から相手の方を向いて聞くことができていたが、自分が主張し始めると相手の意見を聞かなかったり、尊重できないことがあった。慣れが悪い方に影響したこと、あるいは発言が増えたことが原因だと推測される。
 
 
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