第1回の分析
 
 第1回では『スタッフ』が最も多く使われていた。その多くがスタッフからの働きかけについての記述である。児童Bが自らスタッフに働きかけることはほとんどなかったが、グループ全体に向けて発言する場面にも関わらずスタッフにのみ話していることがあった。また、スタッフの方をチラチラ見て様子を伺っていることが多い。スタッフだけでなく他の児童のすることを見ていることが多く、見てから自分も真似をして行動を始めるというパターンであった。そのため『見る』も多用されたのだと思われる。
 『机』は物を隠すために使われていることが多かった。『名札』を『描く』ときに机の下に隠しながら描いていたり、机の下で何かをやっていることが多く、見られることを避けているようである。できあがった名札は裏返しにつけて、見られないようにしていた。また、机の遠いところにある物を自分で歩いて取りに行ったり、遠くの人にものを渡すときに近くまで歩いていっていることから、誰かに頼むことができないことがわかる。
 自分で歩いて行くのように、『自分』は「自分で〜」「自分だけで〜」という記述で使われていることが多く、なるべく他者と関わらないようにしているようであった。また、自分と他者とを比べたり真似をするなど、自発的に行動することがなく、他者から働きかけられたときは無言で反応を返したり、無反応であることが多い。話しかけられたり、話し合いの場面でもほとんど言葉を発しなかった。『言わない』はそのために頻出した。
 『グループ』と『メンバー』はペアで使われていることが多く、グループの他の児童行動に対してどう反応したかについての記述であった。これについての反応は前にも述べたように、他の児童のすることを真似していることが多かった。
 第1回ではあいさつのコツについての活動を行ったが、来たときは小さな声であいさつをし、帰るときは無言で手を振るというというあいさつだった。活動中にも発言はほとんどなかったことからも、コツを学んだからといって急に上手くあいさつができるようにはならないのだろう。
 
 
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