

1 問題及び目的 人にとって親子関係ははじめて経験する人間関係であり、この時期に親との信頼感がうまく形成されないと思春期の情緒的問題の要因になることも指摘され(Mahler
et al.,1981)ている。3歳時の母子分離と5歳時ならびに思春期の発達の関連を検討した追跡研究(黒丸・杉浦、1986,古林・佐々木、1986)によれば、3歳時に分離に問題のあった子は、5歳時には、生活習慣や幼稚園での友人関係に問題があり、思春期には不安緊張が高い傾向があると指摘している。また乳幼児期にエリクソンの発達段階の第1段階である(親子間での)「基本的信頼」が形成されないと、青年期にアイデンティティの喪失や、摂食障害などがでてくることも知られている(谷、1998など)。発達初期の母親の関わり方が,後年の子供のパーソナリティー形成、特に自尊心や効力感に大きな影響を与えているという研究は数多くあり、小さい頃の恐怖体験や学校でのいじめなど、幼少期に大きな影響をうけたことや衝撃的なできごとは、トラウマとなることは周知のとおりである。発達のスタ−ト地点で悪影響をうけることは後の人格をも左右してしまうくらい大きい。
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2.方法 (1)被験者
(2)調査時期
(3)使用された尺度
(4)分析方法
<High群とLow群について>
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3.結果と考察 養育者の態度とフェースシートに書かれている事柄についての一元配置分散分析で、有意差のあった項目を次に示す。 ![]()
**p<.01 *p<.05 無表示<.1
T.活動性について
U.接近・回避
V.順応性
W.反応強度
X.気分の質
Y.根気・持続性
[.敏感さ
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4.まとめ 1)結果について 今回の研究の目的は、子どもの気質の良い方向の成長は、親のどのような養育態度や環境が関連しているのかということを探るためのものであった。次のような結果が示された。
親の学歴は、子どもの気質や人格・気質の成長に影響するような結果は出なかった。やはり学歴や地位などではなく親が子供にどれだけ関心があるかということや、一緒にいてやれるか楽しい時間過ごすかどうかが重要なのであろう。 2)子どもを育てること
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5.今後の課題 子どもの性格というものは、表面に見えているものとは違うことも多々あり、親の目から見ると自分の期待や希望もヴェールになってうまく測れないと思う。時間的制約や筆者の勉強不足で質問紙を保護者に配ることになったのだが、それだけでは子どものほんとうの気質を測れない。面接法などから比べて質問紙は時間的制約、サンプル数が少ないことから開放してくれているのだが、やはり、それだけ信頼性には欠けるものがある。子どもの気質は小学校の先生に書いてもらうようにすれば更に正確なデータが得られたのではとおもう。 また、養育態度についても、自己評価だけでは信頼性が低いので、母親には父親のことを、父親には母親のことをきくなどして、客観的にみてくれる人からの評価が得られるように改善しなければならない。そして、項目を減らしたことで,BSQとRITQの各カテゴリーごとの項目数が違うため、成長度を絶対値で比較することができなかったこと、先行研究と同じ質問紙を使って、比較検討もしたかったこと、さらに、統計的にももっと高度なことをしたかったこと、また、夫婦間の養育態度の違いや、親自身の気質や社会的スキルにおいても子どもにどう影響していくのかということも見たかったのだがそれもできなかったこと、ひとえに筆者の勉強不足のゆえでの問題点である。 上に書いた統計やデータ収集に関する反省点をふまえて、子どもが安心できる家庭環境になるよう、勉強だけの教育でない情動的教育をするように、保護者の教育に関する意識改善がされることを望んでいる。そのためには今後、子どもは大人が思っているほど無能ではないことや、家庭環境・生活態度、親の性格などが乳幼児期の基盤の大切さについてもっと一般の人たちにも伝えられる研究が必要である。 |