W.結果と考察
(1)仮説1について
《赤》 色のイメージを肯定的とする人は1位2位に多く、否定的とする人は4位に多いが、有意差はみられなかった。

《緑》 色のイメージを肯定的とする人は2位3位に多く、否定的とする人は4位5位に多く、有意差がみられた。

《黄》 色のイメージを肯定的とする人は3位4位に多く、否定的とする人は5位に多く、有意差がみられた。

《青》 色のイメージを肯定的とする人は1位2位に多く、否定的とする人は1位2位3位に多く、有意差がみられた。

《茶》 色のイメージを肯定的とする人は3位4位5位に多く、否定的とする人は4位5位に多く、有意差がみられた。

《まとめ》 全体的に見ると色のイメージを肯定的としている人の方が、否定的としている人に比べ上位の順位を選択していることが明らかとなった。 したがって色のイメージと色の順位付けには、色のイメージが肯定的であるならば、色の順位は上位が選択され、色のイメージが否定的であるならば、色の順位は下位が選択されるといった関係があることが証明された。
(2)仮説2について
《赤》 自己イメージを肯定的とする人は1位2位に多く、否定的とする人は3位に多く、有意差がみられた。

《緑》 自己イメージを肯定的とする人も否定的とする人も2位3位に多く、有意差がみられた。

《黄》 自己イメージを肯定的とする人は3位4位に多く、否定的とする人は4位5位に多く、有意差がみられた。

《青》 自己イメージを肯定的とする人も否定的とする人も1位2位に多いが、有意差はみられなかった。

《茶》 自己イメージを肯定的とする人も否定的とする人も4位5位に多いが、有意差はみられなかった。

《まとめ》 自己イメージと色の順位付けには、赤と黄では、自己イメージが肯定的な人のほうが上位を選択し、否定的な人の方が下位を選択するといった関係がみられるが、緑では、自己イメージが肯定的な人と色の順位付けには関係がみられず、否定的な人は、上位に集中していた。また、青と茶では、青は上位に茶は下位にというように対照的ではあるが、どちらも自己イメージが肯定的であっても否定的であっても色の順位付けに差はなく、自己イメージと色の順位付けとの関係はまったくみられなかった。
(3)仮説3について
《因子分析》 質問紙に用いた項目で因子分析を行った結果、3つの因子が求められた。 1つ目は『積極的な−消極的な』『活発な−不活発な』といった項目があることから、【活力因子】と名付けた。 2つ目は『楽しい−苦しい』『好きな−嫌いな』といった項目があることから、【満足因子】と名付けた。 3つ目は『やさしい−こわい』『暖かい−冷たい』といった項目があることから、【平穏因子】と名付けた。 また、『清潔な−不潔な』『粋な−野暮な』の2項目は、どの因子にも属さなかったため、その他とした。
《相関係数比較》 自己イメージと色のイメージとの関連性をみるために、自己イメージが肯定的な人と、否定的な人それぞれで、1位と選んだ色(1位色)のイメージと5位と選んだ色(5位色)のイメージとを、【|1位色との相関係数の平均|−|5位色との相関係数の平均|】という計算をすることにより比較した。この計算の結果が、0より大きければ、自己イメージと1位色のイメージとの相関が高いことが言え、0より小さければ、自己イメージと5位色のイメージとの相関が高いことが言える(0の場合は、どちらが高いとも言えない)とした。
【自己イメージが肯定的な人】
5つの項目以外すべて0より大きく、1位色のイメージとの相関が高いものが多かった。したがって、自己イメージが肯定的な場合、1位色のイメージとの相関が高くなることが言える。
【自己イメージが否定的な人】
9項目が1位色のイメージとの相関が高く、11項目が5位色のイメージとの相関が高かった。したがって、自己イメージが否定的な場合には、1位色のイメージとの相関と5位色のイメージとの相関に差はみられない。
そのため、因子分析の結果をもとにみていくと、1位色のイメージと相関が高いものの多くは【満足因子】の項目であった。 これは自己イメージが肯定的であっても否定的であっても1位色のイメージとの相関は高いため、自己イメージとの関連性はないと言えるだろう。 次に、5位色のイメージと相関が高いものの多くは【活力因子】と【平穏因子】の項目となった。 これは自己イメージが肯定的な場合には1位色のイメージとの相関が高く、自己イメージが否定的な場合には5位色のイメージとの相関が高いため、自己イメージとの関連性があると言えるだろう。
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