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W.考察
本研究では、「結婚意思」とそれに影響があると考えられる「心理学的諸要因」との間の関連についての検討を行った。「結婚意思」は男女共に高く、結婚願望は高いと考えられた。
1.結婚に対する一般的態度について
結婚に対して良いイメージをもっている人ほど「結婚意思」は高く、悪いイメージをもっている人ほど「結婚意思」は低いといえ、仮説1.で述べた態度が行動を導くという証拠を裏付けるものであった。
2.結婚による”自由の喪失”に対する態度について
「結婚に対する一般的態度」が結婚に対する一般的なイメ−ジとでもいえる反面、これは、結婚することによって生じる具体的な行動の自由の喪失や、精神的な束縛に対する信念や評価をあらわしている。
「結婚による”自由の喪失”に対する態度」は、男女共に「結婚に対する一般的態度」と有意な相関があった。これは、”自由の喪失”に対してネガティブな態度をもっている人は結婚に対してマイナスのイメージをもっていることをあらわしている。
また、女子の場合にのみ、「結婚意思」と有意な相関がみられた。伊東(1997)の研究では、男子の場合にのみ有意であったが、本研究では逆に女子の方で影響が大きかった。 また、女子の場合、「結婚意思」H群-L群の間での「自由喪失」得点の差も大きかった。
さらに、質問紙の問題番号でU-2)「結婚したいとは思わない」理由を自由に記述してもらう問いの回答として、”自由喪失”のことを挙げる人が非常に多かった。
これらのことを考えると、女子は結婚に関して自由を重要な問題として考えているといえ、これは、吉廣(1988)、江原(1994)などの知見を支持できるものであった。
男子の場合、「結婚意思」との間に有意な相関はみられなかったが、上で述べたように、「結婚に対する一般的態度」との間には有意な相関がみられた。しかし、「結婚意思」に対して直接的に影響をおよぼしてはいないということは、”自由の喪失”というのはただ単にイメージに結びつく1つの要因としては考えているが、いざ結婚のこととなるとある程度の”自由の喪失”を覚悟していると考えられる。そのため、女子ほど”自由の喪失”が「結婚意思」と結びついていないと考えられる。
よって、仮説2.は、女子では支持できるものであるが、男子では支持できるものではなかった。
3.個人主義(享楽的自己主義)について
「個人主義(享楽的自己主義)」は上の”自由”にも似ているが、ここでは有意な相関がみられなかったことは、このような生き方、生活と”自由の喪失”は別のものであるということを意味し、そのため「結婚意思」にも影響をおよぼさないと考えられる。
よって、仮説3.は、男女共に支持されなかった。
4.伝統的性役割観について
江原(1994)は、女性は、「結婚したら家事育児をするのは当たり前」、「結婚したら出産するのは当たり前」、「結婚した女の位置は男性の地位によって決まる」・・・といった、伝統的性役割観に基づく結婚に拒否感をもつ、としている。本研究の結果からは、「結婚意思」との間の有意な相関がみられなかったので、この知見を完全に支持して考えることはできないが、男子に比べ得点の低い女子は、このような考えをもっているため自由を重視しているということはいえる。これは、2.の”自由の喪失”にも関係するものである。女性の「高学歴化」や、「キャリア志向」などにもみられるように、女性は、職業的社会的参加意識が高くなったため「現在のライフスタイルを変えない結婚」を望んでいる(永久、1998)のである。
男子の場合、得点は高かったが、女子と同様「結婚意思」との間に有意な相関はみられなかった。よって、「男は結婚して一人前、女の幸せは結婚して夫につくすことにある」というような、昔の社会的規範と結びつくような”性役割観という縛り”も、男子の場合には、現在では結婚にとってはあまり重要な要因とはならないと考えられる。伊東(1997)は、男女共に性役割観と結婚意思との間には大きな関連はないと結論づけているが、本研究では、男子の場合にのみこの知見を支持できるものであった。
本研究の仮説4.については、完全に支持できるものではなかった。
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