廣岡(1990)の「個人的親しみやすさ」、「社会的望ましさ」、「活動性」の各因子に高い負荷量を示す項目で構成
されるパーソナリティ評定尺度に、若干の修正を加えた21項目を7段階で評定させる質問紙を用いた。Aタイプ、Bタ
イプともに同じものである。
Aタイプでは、被調査者は「以下の条件に当てはまる人物を想定してください。いずれもここ1、2ヶ月の間に知り
合った人物(もしくは相手の存在を知った)人物です」という教示をもとに、6人の人物のパーソナリティ評定を求め
られた。6人の人物とは、@好きな同性、A好きな異性、B嫌いな同性、C嫌いな異性、D好きでも嫌いでもない同性、
E好きでも嫌いでもない異性、である。
Bタイプでは、社会的相互作用のない、未知の人物の行動をビデオに撮り、映像刺激として提示した。刺激人物が
ビデオの中でとっている行動は、「親しみやすさ」と「知性」の2次元を想定して作成された。それに性の要因(男、女)
を加えた2×2×2の8パターンの人物刺激ビデオを作成した。したがって、刺激人物間では、「親しみやすさ」と「知性」
と「性」は独立となる。
被調査者は「これから皆さんには、ある8人の人物の行動を撮影したビデオを見ていただき、各人物についてのイメージ
を答えていただきます」という教示の後に、映像に映し出された8人の人物に対するパーソナリティ評定が求められた。
具体的には、ビデオプロジェクターを用いて刺激人物の行動をスクリーンに映しだし、各人物ごとの評定を15〜20分の間
で一斉に行った。
なお、この尺度により算出可能である認知的複雑性得点の算出方法は、林(1976)のTCCを用いた。このTCCの信頼性および
妥当性については、池上(1983)や坂本(1991)、廣岡・山中(1997)でも使用されている点からも、十分な信頼性と妥当性を
持つと判断される。また、結果で示されるTCCは高い得点であればあるほど、評定パターンの一致度が高いことを示している。
つまり認知的複雑性が低く、認知的に単純であることを示す。