今後の課題



 本研究の結果は,我々はイヌを“親近性”と“活動性”の2つの尺度からとらえていることを示すとともに「正面」

「後ろ」「伏せ」「横」の4姿勢の中では,「正面」及び「伏せ」の姿勢をしたイヌが我々にとって最も接近しやすいイ

ヌであることを示した。しかし,本研究で用いられた刺激は,非常に縮減されたものであった。イヌに限らず,動物

の姿やしぐさというものは無数にある。本研究で用いた刺激はイヌの4姿勢に限定したものでありかつ静的な特

徴の意味をとらえたものである。動物は我々に対し,静的な面だけなく動的な面でも魅力を与え,重要な意味を持

つと考えられる。したがって今後は実際に人間と動物を触れ合わせた場面での,人間の動物に対する反応を科学

的に研究していく必要があるであろう。また,本研究で用いた刺激はイヌであったが,動物の種類によっては結果

に大きな差が生じることも考えられる。さらに,人間と動物の相互作用を規定する要因と人間同士の相互作用を

規定する要因のちがいはどこにあるのかを追及していくことも興味深い課題であると思われる。

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