結果
1.教師の働きかけによる児童適応
教師の働きかけが高い3クラスの児童の学級適応感をt-H児童適応,低い3クラスの児童の学級適応感をt-L児童適応とした。
t-H児童適応とt-L児童適応について全体,学習面,生活面,社会面,保護者への働きかけのそれぞれでt検定を行った。その結果学習面(t=2.116,df=213,p<.05),生活面(t=2.343,df=212,p<.05),社会面(t=2.491,df=212,p<.05),保護者への働きかけ(t=2.814,df=213,p<.01)で,t-H児童適応はt-L児童適応より有意に高いことが示された(Table 5)。
つまり,教師の働きかけはそれぞれの領域において,児童の学級適応感に影響していると考えられる。
2.保護者の期待による児童の学級適応感
保護者の期待が高い3クラスの児童の学級適応感をp-H児童適応,低い3クラスの児童の学級適応感をp-L児童適応とした。p-H児童適応とp-L児童適応について全体,学習面,生活面,社会面,保護者への働きかけのそれぞれでt検定を行った。その結果,全体(t=5.017,df=214,p<.01)学習面(t=4.331,df=213,p<.01)社会面(t=3.693,df=214,p<.01),においてt-H児童適応はt-L児童適応より有意に高く,生活面で,t-H児童適応はt-L児童適応より有意傾向で高い(t=1.929,df=212,p<.10)ことが示された(Table 6)。
つまり,保護者の期待は全体,学習面,生活面,社会面において,児童の学級適応感に影響していると考えられる。
3.保護者の期待と教師の働きかけの差違による
児童の学級適応感
保護者の期待と教師の働きかけの差違が大きい3クラスの児童の学級適応感をtp-H児童適応,低い3クラスの児童の学級適応感をtp-L児童適応とした。tp-H児童適応とtp-L児童適応について全体,学習面,生活面,社会面,保護者への働きかけのそれぞれでt検定を行った。
その結果,全体(t=-2.068,df=214,p<.05),学習面(t=-2.565,df=211,p<.05),社会面(t=-3.040,df=212,p<.05)においてt-H児童適応はt-L児童適応より有意に高く,保護者と教師の関係においてt-H児童適応はt-L児童適応より有意に高く(t=3.651,df=210,p<.01),生活面で,t-H児童適応はt-L児童適応より有意傾向で高い(t=1.712,df=211,p<.1)ことが示された(Table 7)。
つまり,2者の差違は全体,学習面,社会面については負に,生活面,保護者と教師の関係については正に影響していることが考えられる。