総合的考察
群れ的なつきあい方をする傾向の高さは、学校生活の適応感との関連が強く、
気遣い的なつきあい方、同調的なつきあい方をする傾向の高さは学校生活の適応感との関連が
弱いということがわかった。群れ的なつきあい方の高さが学校生活の適応感との関連が強かったと
いうことは、友人と一緒に楽しく過ごし、多くの友人とつきあうことが、学校生活を送る上で重要である
と考えられよう。このことは、学校が集団生活を送る場であること、学校生活の適応感の中でも学習意欲との間の
関連は弱かったことからも言えるのではないだろうか。
アイデンティティ確立の程度の高低に関わらず、群れ的なつきあい方をする傾向の高さと、
学校生活適応感とは関連があると言える結果となった。ただし、アイデンティティ確立の程度の高い者は
進路意識との関連が強いのに対し、アイデンティティ確立の程度の低い者は教師との関連が強いという結果になった。
アイデンティティ確立の程度の高低によって、友人とのつきあい方が学校生活適応感に与える影響が異なると言えよう。
性差についてであるが、女子よりも男子の方が友人とのつきあい方と学校生活適応感との関連が強い。
男子は群れ的なつきあい方をする傾向の高さと教師関係、進路意識、
適応感全体との間に正の関連が見出され、同調的なつきあい方をする傾向の高さと進路意識との間に有意な負の関連が見出された。
一方女子では、友人とのつきあい方と学校生活適応感との間には有意な関連が見出されなかった。
女子は男子ほど友人とのつきあい方が学校生活の適応感に与える影響が大きくないと言えよう。
これは、男子にとっては友人とのつきあい方と学校生活の適応感が関連している一方、女子にとっては友人とのつきあい方と、
本研究で適応感として取り上げた学習意欲、教師との関係、進路意識とは関連が弱かったため、
他にもっと強い関連が見られる要素があったのかもしれない。女子はグループを作り、その中で、
親密な関係を持つことが多いことから、友人との関係そのものが重要となりやすく、友人との関係と学習や教師との関係、
進路について考えることといったこととは関連を持ちにくかったのかもしれない。
本研究により、中学校段階においては、群れ的な友人関係を持つことが、学校生活の適応感を高める
ことにつながることが示唆された。群れ的なつきあい方は、一般的に青年期後期の友人関係としてとらえられている、
お互いを理解しあい、尊重しあう関係へと発展していく過程で見られる友人関係であると考えることができるであろう。
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