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方法






1.質問紙調査の実施

1−1.対象

1)実験群(授業プログラムを受ける児童):A校とB校の5年生各1学級
2)統制群(授業プログラムを受けない児童):B校5年生1学級

1−2.調査実施日

1) プレテストの実施日:A小学校9月下旬、B小学校11月中旬
2) ポストテストの実施日:A小学校10月中旬、B小学校12月上旬

1−3.調査内容

1) 自尊感情尺度

子ども版自尊感情尺度(Pope,McHale&Craighead,1988)を参考にし、項目を作成した。また、児童に分かりやすい表現であり、回答したときに不快に感じないように逆転項目については児童にとって理解しやすい表現にし、7項目使用した。各項目に対し、まったくそう思わない(1点)、そう思わない(2点)、そう思う(3点)、とてもそう思う(4点)の4件法で評定を求めた。

2) 自己効力感尺度

シェーラ(Sherer,1982)の自己効力感尺度を桜井(1987)が邦訳した日本語版から7項目を使用した。各項目に対し、まったくそう思わない(1点)、そう思わない(2点)、そう思う(3点)、とてもそう思う(4点)の4件法で評定を求めた。

3) ストレス反応尺度

小学生用ストレス反応尺度(嶋田・戸ヶ崎・坂野,1994)の20項目から、因子(身体反応、抑うつ・不安、不機嫌・怒り、無気力)ごとに2項目ずつ選び、全8項目を使用した。各項目に対し、まったくあてはまらない(1点)、あてはまらない(2点)、あてはまる(3点)、とてもよくあてはまる(4点)の4件法で評定を求めた。

4) 学級満足度尺度

三隅・吉原・篠原(1977)の学級雰囲気尺度を参考にし、筆者が項目を作成した。また児童に分かりやすく、逆転項目をなくし、7項目を作成した。各項目に対し、まったくそう思わない(1点)、そう思わない(2点)、そう思う(3点)、とてもそう思う(4点)の4件法で評定を求めた。


2.授業プログラムの実施

2−1.対象

@ A校 5年生1学級、AB校 5年生1学級

2−2.実施日 

A校:2004年10月中に3回、B校:2004年11月〜12月中に3回
各学校ともに、初回授業の約1ヶ月前にフィールドエントリーし、授業見学や家庭科や図工などにTTとして参加して児童とコミュニケーションをとりながら、授業をスムーズに行えるよう、ラポールを形成してから授業に臨んだ。

2−3.手続き

@授業プログラムの作成

 冨永(1999)や高橋(2002)を参考に筆者が原案を作成し、A校とB校の担任教師に相談して、授業プログラムを試行可能にするための変更を加えた。

A授業プログラムの施行

筆者が「保健」の授業時間として行った。A校の担任はTTとして授業に参加し、B校では担任とスクールカウンセラーが授業を見学した。

B毎授業時の効果測定

 毎回の授業の最後にストレスに対する理解や、イメージトレーニングへの取り組みなど、授業の学習目標に即した数個の質問文に3段階で回答させ、自己評定とした(付録3参照)。また授業の感想も求めた。なお、質問文については以下に載せる。

<第1回授業> ストレスについての理解とリラックスを体験できたかを尋ねる。

1.「ストレス」についてわかりましたか?  
2.腹式呼吸をしてリラックスできましたか?

<第2回授業> 腹式呼吸の実施回数とイメージトレーニングの取り組みを尋ねる。

3.腹式呼吸を1週間の間に何回行いましたか? 
4.できるイメージが想像できましたか? 
5.これからの1週間で3のシートに書いたことを実行できそうですか?
 

<第3回授業> 3回のSTM教育授業の児童自身への効果を尋ねる。

6.腹式呼吸をこれからもやっていきたいですか? 
7自分にいいイメージがもてそうですか? 


2−4.授業プログラム目標と授業概要
第1回「ストレスってなんだろう?」

学習目標:ストレスについて知り、腹式呼吸をしてリラックスしよう!
概要:ストレスのしくみについて学ぶストレス学習と、腹式呼吸を用いたリラクセーションを体験する。ストレス学習は、ストレッサーとストレス反応の違いを学習し、「どんな時にストレスを感じて、どうやってストレスを発散しているか」を発表させた。

第2回「ストレス」に負けないぞ!

学習目標:できるイメージをして、自分にいいイメージを想像しよう!
概要:解決(できる)イメージトレーニングを行い、自分にいいイメージを思い描く練習を行う。いいイメージを思い浮かべる際、腹式呼吸を行う。

第3回「ストレス」とうまく付き合おう!

学習目標:これからも自分にいいイメージを持ち、腹式呼吸を続けていこう。
概要:解決イメージトレーニングの続きと、腹式呼吸の復習を行い、3回の授業のまとめを行う。授業の最後に、STM教育の効果を検討するためのポストテストを行う。


授業の効果測定

第1回の授業日前と、第3回の授業終了時に同様の質問紙に回答させた。また、各授業後に感想を書かせた。

2−5.授業プログラムの流れと工夫

 授業で用いた「心のトレーニングノート」は、授業後にいったん回収したが、後日赤入れをしたものを児童に返却した。また、感想や教材に書かれていたことを授業の冒頭で紹介したり、フィードバックのプリントを配布するなどした。第2回の授業では、授業の学習内容が定着するように宿題を出した。内容としては、1日を振り返り、その日の気分から自分のストレスの原因(ストレッサー)に気づくこと、できるイメージができたか、腹式呼吸を行ったかを各自で記録するものであった。第2回授業の翌日から1週間、毎日取り組むものである。提出率はA校83%、B校65%であった。




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