方法

1.調査対象

 三重大学の大学生及び大学院生358名(男性122名、女性236名)を対象として質問紙調査を実施した。このうち、記入漏れや、本研究の対象である青年期(10代後半から20代後半とした)の年齢に妥当でないと判断したものを除いた。有効回答者は計342名(男性120名、女性222名、平均年齢20.20歳、SD=1.38)であった。

2.調査時期

 2004年12月上旬から12月中旬に実施した。

3.調査実施状況

 調査は講義時間の一部を利用して一斉に実施し、その場で回収した。また、個人的にも調査を依頼し、その場または自宅で各自実施してもらい回収した。質問紙の回答に要した時間は15分程度であった。

4.質問紙の構成

 質問紙は、まず「あなたが、自分の思っていることや考えていることを一番よく話す同性の友人を1人思い浮かべて、その人のイニシャルを書いて下さい」と被開示者にあたる人物を想起させ、その人物についてエゴグラム尺度への回答を求めた。次に、想起させた人物に自己開示する動機を自己開示動機尺度によって測定した。最後に、開示者である回答者自身についてエゴグラム尺度への回答を求めた。

@エゴグラム尺度
 西川(1995)によって作成された改訂自己志向・他者志向エゴグラムMIE(ミエ)を使用した。ただし、本研究においては、被開示者のエゴグラムを開示者の評定によって求めることや、互いが自分の持つ情報を相手に開示し、相手からの情報を得ることで対人関係を構築していくという相互関係の観点から開示者と被開示者相互のエゴグラム特徴に着目したいという目的を考慮し、他者志向エゴグラムの部分のみを用いた。UCP、UNP、UA、UFC、UACの5つの自我状態から、回答者である開示者と、開示者が想定する開示者にとって最も自己開示しやすい被開示者のパーソナリティについて評定させた。つまり、回答者を自己開示の開示者、回答者が想起した「一番自分の情報を開示する同性の友人」を被開示者とし、回答者が自分自身について評定したパーソナリティを開示者のパーソナリティ、回答者が想起した友人について評定したパーソナリティを被開示者のパーソナリティとした。尺度は、UCP、UNP、UA、UFC、UACそれぞれ8項目ずつ選出し、計40項目の質問紙を作成した。すでに記述した教示文を被調査者に呈示し、開示者、被開示者のパーソナリティについて3件法(2.あてはまる 1.どちらともいえない 0.あてはならない)で評定させた。

A自己開示動機尺度
 榎本(1989)が作成した自己開示動機尺度を使用した。自己開示動機尺度は、相談的自己開示動機、理解・共感追求的自己開示動機、親密感追求的自己開示動機、情動解放(カタルシス)的自己開示動機の4つの下位尺度から構成されている。本研究では、開示者がどのような動機で自己開示をしているのかを測定することを目的とする。ただし、榎本(1989)の因子分析結果から、因子負荷量が低かった項目、加えて筆者が妥当でないと判断した2項目を除いたものを使用した。項目数は各動機からそれぞれ3項目ずつ選出し、計12項目の質問紙を作成した。そして、自己開示をする動機について7件法(7.非常にあてはまる 6.かなりあてはまる 5.ややあてはまる 4.どちらともいえない 3.あまりあてはまらない 2.ほとんどあてはまらない 1.全くあてはまらない)で評定させた。