押見(1990)は、公的自己意識が対人関係感情の強度を高めるということを、自己意識特性と嫉妬感情(恋愛場面における嫉妬状況での不快感)との関連から検討している。その結果、公的自己意識と嫉妬感情との間のみに正の相関がみられ、公的自己意識が嫉妬感情の強度に影響を与えていることが示唆された。また、恋愛関係における嫉妬感情は、自分以外の人と新たな関係を形成するというパートナーの行為が、自己ないし自己評価に脅威であると感知されることで発生する感情であるとし、対人関係に関わる自己に注意を向けやすく、その側面における自己への脅威に敏感な公的自己意識の高い人が嫉妬感情喚起状況のもつ意味に鋭敏に反応し強い不快感を持つようになると述べている。
しかし、押見(1990)の研究では、嫉妬感情を不快感1項目で測定している。先述したように、嫉妬感情とは複合感情であるため、嫉妬感情を1項目ではなく、複数の項目から見ていく必要性があるだろう。
そこで、本研究では、嫉妬研究において、複合感情である嫉妬感情を複数の項目で測定し、恋愛関係における嫉妬と自己意識特性との関連の検討を行うことを目的とする。