予備調査



キャリアカウンセラーへのインタビュー

 

1 目的

 大学生の就職意識の傾向や特徴についてを探索的に検討するため、大学生の就職意識に触る機会の多いキャリアカウンセラーの意見をうかがう。

 

1−1 大学生の就職意識調査

 大学生全体での意見ということで、三重大学へ招かれていたキャリアカウンセラーにインタビューをおこなった。三重大生の就職意識で気になること、どのような質問を受けることが多いのか、カウンセリングをおこなうに至って気をつけていること、就職意識が変わったと感じたことはあるのかなどの最近の大学生の就職意識の特徴を尋ねた。

 

1−2 大学生の就職の特徴

就職の特徴は時期的なものに左右される。1~3月の早い時期では、就職の悩みより自分のエントリーシートの添削が主である。就職活動の相談についての特徴は、季節によって変わってくる。

もう少し経ち5月くらいになると、面接で何を聞かれるのか、自分に自信がないなどの悩みの相談と平行して書類・エントリーシートが通らないという相談も増えてくる。

 

1−3 就職の最近の傾向

インタビューから、1,企業の傾向、2,学生の傾向、3,就職のために重要なこと、4,最近気になることの4つの就職活動、大学生の就職意識について見ることができた(Tab.1参照)。

 

 

 

 

 

Tab. 1 キャリアカウンセラーへのインタビュー結果

1 企業側の傾向

 

昔は、面接・学科試験・幹部との面接を行い内定が決まるという1ヶ月かかるか、かからないかというような早いスピードでの就職活動であった。

近年は、就職活動を長期化することが多い。それは、個々人を丁寧に見ていくことができるメリットがあるからだ。また、1つの内定が決まると学生は安心し、自分の良い点を別の就職選考の場で現しやすくなることや、学生の就職する職業を絞り制限することができるというメリットがあるために長期化してきているという面もある。

 

2 学生の傾向

本当に学生の傾向は、まちまちである。長期化した就職活動によって悩みが増えたかといえばそうではない。例えば、旅行会社では内定が早く出るのは、就職意志の固い人が多い傾向があるからであるなど、本人の意識の持ち方が重要で、企業側が変わったからといってそのための悩みが増えたということはない。

時期的なものもあり、就職ということが明確にイメージできているのか、いないかという人が多く、絶対これだと固執し職業を決定しているような色が濃い人は今(4月)はいない。

職業を興味で絞り込むもが多いが、就職の意識は持っているという人も会社を徐々に知ることによって、入りたいか入りたくないかを決断することになる。もう少し時間が経つと、就職を強く意識し始めると焦り必要に迫られて職を決める人もいる。

最近は、就職意識が軽い人が多いような印象を受ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

3 就職のために重要なこと

自分を良く知ることと、企業を良く知るということができた人が就職することができる。 

人の良い点は1つではない。よい要素はたくさんある。しかし、多くある要素も相手の求めるものによって使い分けなければ自分のPR効力は弱い。よりうまく自分をPRするためには企業を知らないとアピールできない。熱意も大事だが、熱意だけでなく具体的に「何ができる」「何をしたい」ということをぶつけることが大切であり、意味のある熱意とすることが重要となる。

エントリーの時点で働く姿がイメージできるといい。つまり、具体的に自身の将来を真剣に考え事が重要である。

 

4 最近気になること

最近は、答えをすぐに出したがる学生が多い。その職業に就くことが自分にとって「正しいか正しくないか」「良いか悪いか」という2択での答えを欲している。「何が向いていると思いますか」と尋ねられても探す手伝いはできるが、これだというものを与えられない。今の学生は、明確な答えがないと動くことができないようだ。

他にも、社会に出る準備はできているのかと感じることがある。今までの人生で会得するべきコミュニケーションや常識などが会得できないままきてしまった人が多いのではないかと思う。例えば、遅刻などでも社会に出るためには意識が低いのではないか。

就職課を今の時期(1~3月)利用しているものは、就職の意識がある人や、就職の必要性に気づいた人が多く、キャリアプランや就職活動の計画を立てている。準備ができてない人はもっと後に利用する人が多い。自分が就職することに対して悩んでいるということに気づいている人は問題ないとは思うが、どの時点で気づくのかということが大切である。

専門学校もある程度自由だが、大学生は自分の責任が大きいだけ自由に選ぶ権利がある。

昔は「残り物にはカス」というような就職情勢だったが、SONYなどの大手は試験機会4回など、試験回数が多くなっている。こういうものはやはり1部である。それは無理してまで学生を選ぶ必要性はなく派遣などがいるからである。しかし、今年からは、団塊の世代が会社を去る危機感から新人育成を目指した新卒採用が増え始めている。しかし、新人では会社を経営できないので、育てるためのお金を稼ぐ中途採用の即戦力も平行して取っている状況にあるのが、今の学生の置かれている就職状況である。

 

1−4 結果・考察

3月までは、基本的に学生は自分の職業選択をどのようにすればいいのか、自分の天職はなんなのかといった相談が多いようだ。このような職業的な悩みは企業の採用スケジュールと共に変化してくる。そのため、就職活動の流れを考慮し質問していくことは個々人の変化を見ていく上でとても効果があるものだと思う。

 また、キャリアカウンセラーの回答から学生は自己理解や企業研究がしっかりと出来ていないと採用されにくくなり、自分自身に自信を持てなくなってくるという傾向がうかがえた。

 

2 質問項目のための予備面接

 調査対象は大学生を予定しているため、三重大学の女子1名(20056月 就職活動中)。所属学部は教育学部。著者の知り合いで直接依頼した。質問項目を考え上手く回答が受けられるかを検討したが、この質問項目では上手く回答を引き出せなかったため質問項目の改良をおこなった。

 質問項目を最終決定するために、予備面接調査をして適切に話がうかがえるのかどうかを検討することにした。質問項目は前回の面接を考慮し改良したものである(Tab. 2 参照)。調査対象は三重大学の女子1名、所属学部は人文学部。また、昨年までフリーターの22歳の女性。いずれも著者の知り合いで直接依頼した。以前の面接結果を考慮し、就職活動以前の職業忌避傾向・進路決定効力感、就職活動中での自己概念の明確化、職業忌避的傾向をより正確に聞くために面接を行った。質問項目は、前回の話の流れがうまく聞けなかったと思われる部分を改善したものを使用した。

 この質問項目では上手く回答を引き出せた。そのため、この質問項目で本調査をおこなうことを決定した(Tab. 2 参照)。