アレキシサイミア傾向


感情を言語化することの困難についてアレキシサイミア(失感情言語化症) という概念がある(Sifneos,1973)。
Sifneosは自身の精神療法経験から、心身症患者の多くが自分の気持ちを 表現するのに的確な語を使うことができない傾向が顕著であることを報告し、 「アレキシサイミア(Alexitymia:語源はギリシャ語。A=欠如、lexis=言葉、 thymos=情動)」とした。

アレキシサイミアの構成概念は、
(@)感情を認識し、感情と情動喚起に伴う身体感覚を区別することの困難
(A)他者の感情について語ることの困難
(B)空想の乏しさに明らかな、限られた想像過程
(C)刺激に規定された、外面性志向の認知様式
                                  の4つの心理的特徴がある。

さらに、アレキシサイミアは境界の明確な(全か無かの)現象ではなく、 一般の人にもみられる多次元的概念(あるいは人格特性)として定義され ることも強調すべきである。
アレキシサイミアは単に不安状態や抑うつ状態に対する2次的反応ではな いという結果が得られている。つまり、アレキシサイミアは安定したパー ソナリティ特性であることを示唆している。