【本実験・方法】
1.被験者
国立A大学学生40名(男性7名、女性33名)に、実験調査を行った。
被験者の平均年齢は20.85歳であった。
2.被験者の群分け
音楽要因2種類(Positive音楽、Negative音楽)、課題要因2種類(Easy課題、Difficult課題)をそれぞれ組み合わせた4通りの群を設定し、被験者にはいずれか1パターンの実験に協力してもらった。
実験時の聴取音楽は、予備実験の結果を踏まえ、Positive音楽にはモーツァルトの『ピアノソナタ第6番ニ長調K284』を、Negative音楽にはベートーヴェンの『ピアノソナタ第17番ニ短調作品31-2より テンペスト第3楽章アレグレット』を用いた。
また、遂行課題については、易しい課題(Easy課題)には「内田クレペリン検査」と同様の加算作業を課す課題(11列×18行で一桁の数字が配されている)を3枚綴りにしたもの、難しい課題(Difficult)には3桁×2桁の筆算の虫食い算(筆算のところどころが空欄になっている)10問を1枚にまとめ、2枚綴りにしたものを用いた。
そしてこれらを、
1.Positive×Easy(以下PE)群
2.Positive×Difficult(以下PD)群
3.Negative×Easy(以下NE)群
4.Negative×Difficult(以下ND)群
の4群に組み合わせた。
被験者は、基本的にはランダムに分けられたが、男女比と文系理系の比が同じくらいになるようにのみ調節を行った。 なお、PE群には10名(男性2名、女性8名)、PD群には10名、(男性3名、女性7名)、NE群には10名(男性1名、女性9名)、ND群には10名(男性1名、女性9名)の被験者を割り当てた。
3.実験手続きと質問紙の構成
実験の流れは、以下の通りである。
実験室入室、感情誘導前の質問紙回答
→30秒間、目を閉じてPositiveもしくはNegative音楽を聴取
→5分間、EasyもしくはDifficult課題を遂行
→課題遂行後の質問紙回答、デブリーフィング(被験者の方に実験の目的等を説明すること)
(1)感情誘導前の質問紙
・現在の感情を測定→谷口(1995)の音楽の感情価測定尺度8項目
・喚起感情を尋ねる→独自に作成した3項目
→以上は、全くあてはまらないからよくあてはまるの5段階で評定させた
(2)課題遂行後の質問紙
・課題遂行中の緊張度を測定→坂野ら(1994)の気分調査票より、緊張と興奮8項目
・課題遂行中の倦怠、集中度を測定→寺崎・古賀・岸本(1991)の多面的感情状態尺度より倦怠と集中の各5項目
・音楽による妨害度合いを測定→独自に4項目を作成
→以上は、課題遂行中にどう感じていたかを、全く感じていなかったからはっきり感じていたの4段階で評定させた
・課題を面白く感じたかを測定→独自に5項目を作成
・課題に対してやる気を感じたかを測定→独自に4項目を作成
→以上は、課題に対してどう感じたかを、全く感じなかったからはっきり感じたの4段階で評定させた
・現在の感情を測定→谷口(1995)の音楽の感情価測定尺度8項目
・喚起感情を尋ねる→独自に作成した3項目
→以上は、全くあてはまらないからよくあてはまるの5段階で評定させた
→また、この項目は(1)の感情誘導前の質問紙と同じものである。
・被験者がどのくらい課題遂行に集中していたかを見るために、課題遂行中にどんなことを考えていたかを自由記述で回答させた
・音楽の好き嫌いが結果に影響を及ぼすとされているので(谷口,1991a;菅・岩本,2003)、感情誘導、及び課題遂行中に流れていた音楽は好きだったかどうかを、嫌いからとても好きの5段階で評定させた
・普段音楽を聴きながら勉強するかどうかを、全くしないからいつもするの4段階で評定させた
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