方法
1.調査対象
三重県内のM大学の大学生及び大学院生259名(男性90名、女性169名)を対象として、質問紙調査を実施した。その中で、記入漏れなどの無効回答を取り除いた。そのため、有効回答は239名、(男性76名、女性163名、平均年齢20.7歳、SD=1.4)であった。
2.質問紙調査実施期間
2005年12月の上旬より配布を始め、中旬に回収を終えた。
3.調査実施状況
調査は講義の時間に集団形式の質問紙を一斉に実施した。また、個人的にも調査を依頼し、自宅またはその場で実施してもらい、回収した。質問紙に要した時間は15分から20分であった。
4.質問紙の教示と回答方法
質問紙は榎本(1997)による4つの自己開示動機を参考に、その動機場面を想起させる文章を作成した。相談的動機からの自己開示として「今、あなたは重大な決断を前にしています。しかし、自分の意見がまとまりません。そこで、誰かに話をして、相手の意見を聞くことで自分の考えをまとめたいと思っています。」と教示し、これを相談場面とした。理解・共感追究的動機からの自己開示として「今、あなたはつらい出来事があって悲しみにくれています。そこで、誰かに自分の気持ちや考えを話して、自分の抱えている苦しい胸のうちを理解してほしいと思っています」と教示し、これを理解・共感追求場面とした。親密感追求的動機からの自己開示として「今、あなたは孤独感に襲われていて、虚しいような気分を感じています。そこで、誰かと話をして、その相手を身近に感じたいと思っています」と教示し、これを親密感追求場面とした。情動解放的動機からの自己開示として「今、あなたは思いがけないような出来事があって、とても気持ちが高ぶっています。そこで、誰かに話すことで気持ちをすっきりさせたいと思っています」と教示し、これを情動解放場面とした。
それぞれ4つの場面から2つの場面ずつ組み合わせたため計6種類の質問紙(相談×理解、相談×親密感、相談×情動、理解×親密感、理解×情動、親密感×情動)を作成した。そして、被験者には無作為に配布し、それぞれ2場面を提示し、想定してもらい回答を求めた。そのため、相談×理解の質問紙に40名、相談×親密感の質問紙に39名、相談×情動の質問紙に43名、理解×親密感の質問紙に38名、理解×情動の質問紙に40名、親密感×情動の質問紙に39名の回答を得た。これらを場面ごとにまとめると、相談的動機場面では122名(男性43名、女性79名)、理解・共感追求場面では118名(男性38名、女性80名)、親密感追求場面では116名(男性40名、女性76名)、情動解放場面では122名(男性31名、女性91名)からの回答を得た。
5.質問紙の構成
質問紙は以下の尺度で構成されている。
(1)自己開示の効果予想尺度
実際に自己開示したときに予想される抵抗感を測る尺度として、片山(1996)の作成した自己開示の効果予想尺度を12項目使用した。
項目内容は‘話すことでその事実を再認識しそうで嫌だ’などの自分に対してのマイナスの影響を考える「対自的要因」、‘こんなことを話すと相手に嫌われそうだ’などの相手との関係へのマイナスの影響を考える「対他的要因」、‘相手に話したところでどうにもならないであろう’などの話しても意味がないと感じる「無効性」の3つ下位尺度から構成されている。
動機場面別にこれらの話をすることについてどのように思うかについて、項目ごとにどの程度当てはまるのかを「1.そう思わない」から「5.そう思う」の5段階で回答を求めた。
(2)聞き手の受容的反応尺度
話をした際にどのような反応を相手からされたいかを測る尺度として、森脇・坂本・丹野(2002)の作成した聞き手の受容的反応尺度(22項目)を用いた。その項目の中で、森脇らの因子分析の結果から、因子負荷量の低かった項目や本研究にふさわしくないと判断した項目は削除した。その結果、本研究において、各下位尺度から4項目ずつ、計16項目を用いた。
項目内容は‘真剣に聞くなど’の「真剣な姿勢」、‘具体的にアドバイスをする’などの「アドバイス」、‘解決までの行動を一緒にとる’などの「親身な行動」、‘同感する’などの「共感」の4つの下位尺度から構成されている。
動機場面別に自己開示をしたとき、相手にはどのような反応をしてほしいかについて項目ごとにどの程度当てはまるのかを「1.当てはまらない」から「4.当てはまる」の4段階で回答を求めた。
(3)適切な自己開示尺度、不適切な自己開示尺度
自己開示をする際に開示者はどのようなことを考えて話をするかを測る尺度として、森脇ら(2002)が作成した「適切な自己開示尺度」及び「不適切な自己開示尺度」を用いた。
項目内容は、適切な自己開示尺度は‘静かで落ち着ける場所を選んで話をする’などの「時間および場所選択」の下位尺度、4項目を取り上げた。また、「不適切な自己開示尺度」は‘相手が忙しいとわかっていても自分の話をする’などの「無配慮」、‘人の悪口や愚痴ばかりになると分かっていても話をする’などの「ネガティビティ」、‘話が堂々めぐりになる’などの「しつこさ」の3つの下位尺度から4項目ずつ用いた。計16項目から構成される。場面別に自己開示するときのことを思い浮かべてもらい、各項目に対してどの程度当てはまるかを「1.当てはまらない」から「4.当てはまる」の4段階で回答を求めた。
(4)自己評価的意識尺度
自己についての意識を測定する尺度として、梶田(1988)の作成した自己評価的意識尺度を用いた。ただし、その中でも、本研究では特に自己評価において焦点を当てていたため、「自己評価」の下位尺度のみを扱った。そのため、9項目を用いた。‘人とうまくつきあっていける’などから構成される。これらの項目に対してどの程度当てはまるかを「1.そう思わない」から「5.そう思う」の5段階で回答を求めた。