2007/3/12
1,調査対象
三重県内のI小学校4、5、6年生186名(男子86名、女子100名)を対象として質問紙調査を実施した。このうち、記入漏れのあるものを除き、有効回答者は184名(男子84名、女子100名)であった。
2,調査時期
2006年10月下旬から11月上旬に実施した。
3,実施状況
学級単位で、担任から質問紙を生徒に配布し、回答してもらった。
4、質問紙の構成
子どもに思った通りに回答してもらうため、無記名にした。
一般的自己効力感と各領域の自己効力感を測定する尺度で構成し、途中イラストを入れるなどして、子どもがいやにならないようにした。全部で46項目。なお、実際の質問紙は、末尾に添付する。
@)フェイスシート
性別、学年、実施時の気分
A)一般的自己効力感
一般的自己効力感を測定するため、効力感尺度−U(浦上,1994)を児童にわかりやすい表現に修正した9項目を設定した。「はい」「どちらかというとはい」「どちらかというといいえ」「いいえ」の4件法で回答させた。
B)「国語・算数・理科・社会」と「それ以外の教科」の効力感
学習の効力感を測定するため、「国語・算数・理科・社会」が得意かどうかと、その効力感には「制御体験」「代理体験」の影響をどの程度うけているかを測定する計3項目を設定した。なお、この質問では「国語・算数・理科・社会」と複数の提示になっており、「言語的説得」についての質問を設定すると非常にわかりにくくなることから項目から除外した。
以上の質問に続けて、「国語・算数・理科・社会」より得意な教科があるかどうかを、はい・いいえの2件法で尋ねた。はいと答えた子どもについては、具体的にその教科は何か、「制御体験」「代理体験」「言語的説得」からどの程度影響をうけているのかを尋ねる3項目を設定した。
項目は以下のようになっている。なお括弧内は質問紙における番号をさす。
・効力を感じる頻度(1)
・制御体験の影響を受けた頻度(2)
・代理体験の影響を受けた頻度(3)
C)家庭の効力感
家族構成と家庭の効力感の関連をみるため、回答者を含めた家族の人数を尋ねた。
また、1980年代初期に家族に関心のある看護師研究者グループによって開発された家族力学尺度、及び1993年にそれらを精錬し改訂された家族力学尺度Uで用いられている、家族関係を特徴づける6側面をもとに家庭の効力感についての質問項目を作成した。6側面とは「個別性−巻き込み」「相互依存−孤立」「柔軟性−硬直性」「安定性−無秩序」「明瞭なコミュニケーション−不明瞭なコミュニケーション」「役割相互依存−役割葛藤」である。なお、このうち「柔軟性−硬直性」の側面は「決まったことも変えることができる」という質問項目であり、家族のなかでの「小学生の」子どもの立場を考えると、家族関係との関連が見られにくいと考え、項目から除外した。
D)対人的自己効力感尺度
対人的自己効力感尺度(松尾,新井1998)を「誘う」「自分の意見を言う」「注意する」「調整する」「楽しませる」に分類し、それぞれ選別して項目を設定した。また、それぞれの効力感を尋ねる項目に関して「制御体験」「代理体験」「言語的説得」の影響源からどの程度影響をうけているか尋ねる項目を付加した。
項目は以下のようになっている。なお括弧内は質問紙における番号をさす。
・効力を感じる頻度(1、5、9、13、17)
・制御体験の影響を受けた頻度(2、6、10、14、18)
・代理体験の影響を受けた頻度(3、7、11、15、19)
・言語的説得の影響を受けた頻度(4、8、12、16、20)
B)からD)は「よくある」「たまにある」「あまりない」「まったくない」の4件法で頻度を尋ねた。
5,自己効力感の得点化
A)については「はい」〜「いいえ」で「1〜4」の4段階。 B)からD)は「よくある」〜「まったくない」で「1〜4」の4段階とした。得点が小さいほど効力感が高いことを示す。