今後の課題
調査に用いた質問紙では、「mixiに登録した理由」「mixiに参加しているうえで経験したこと・感じたこと」については、予め筆者から選択肢を提示したうえで回答を求めるスタイルをとった。
しかし、「選択肢が少ない」「そのため、当てはまるものがない」などの意見を頂戴した。
よって今後、より多くの可能性を含んだ選択肢を設定するか、もしくは回答者に自由記述を求めることにより、各ユーザーの機微に触れた調査を試みることが必要であろう。
考察でも触れたが、仮説通りの結果が得られなかったことの一因に、質問紙調査において回答者の年齢の偏りが大きかったことが挙げられる。
彼らの平均年齢は、大学生として比較的低かったことから、回答者の中にはmixi初心者が多く含まれていたと捉えて良いだろう。
mixiにまだ馴染んでいない時期での回答であったために、各ユーザーの意識にバラつきが生じたと考えられる。
学年・年齢に幅広く、回答を求めることが必要であっただろう。
質問紙調査とWeb調査において、質問数が異なったことと、結果の検討方法が異なってしまったことも、課題として挙げておく。
Web調査は、よりリアルな意見やデータを得るための補足的なものであり、いわば試験的に実施した部分もあったが、
やはり実施する以上は、環境や条件を統一することが必要であったと振り返る。
mixiの諸機能は、日々増えていき、変化している。例えば、個人情報の公開範囲を詳細に設定できるようになったが、
このことによって、ユーザーが自己の印象操作をしやすくなり、mixi内でありながらも各々の匿名性が高まる結果となっている。
これまでは、現実生活における自己と、mixiユーザーである自己とをリンクさせながら、mixiを実体的なコミュニケーションツールとして用いてきたユーザーがほとんどであったが、
今後はmixiを非現実な場と割り切り、現実と切り離した自己として振る舞っていくユーザーが増加することも考えられる。
また、「mixiモバイル」の充実と共に、携帯電話のみからのユーザーも増加している。
パソコンからの閲覧頻度・時間、携帯電話からの閲覧頻度・時間など、パターンをより詳細に設定し、
あらゆるユーザーの存在を想定して、回答を求めていくことが必要であろう。
それに伴い、今回取り上げた公的自意識・対人恐怖心性・自己没入傾向の各得点や、各々の相関についても、
また異なった結果を得られることが期待できるだろう。
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