【要約】
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本研究では、悩みを持っているときに友達に相談するまでのメカニズムを、個人特性要因(自尊心と言語的援助要請スキル)、援助要請を抑制する要因、援助要請意図の3側面から検討し、また3種類の悩み(「対人関係の悩み」「性格・外見・健康の悩み」「学業・進路の悩み」)によるその違いをも明らかにすることを目的とする。その結果、悩みを持っているとき、友達に相談するまでのメカニズムは3種類の悩みによって顕著な違いが見られなかった。3種類の悩みに共通に見られたことは、友達に悩みを相談するとき、「汚名の心配」を感じたとしても、相談する・しないの決定要因にはならないということであった。また、悩みを持っているときに友達から呼応的な反応を得られないという「呼応性の心配」がある場合、援助要請しないことが示唆された。
各悩みにおいて、自尊心・言語的援助要請スキルが援助要請抑制要因・援助要請意図に及ぼす影響については以下の通りである。「対人関係の悩み」を持っているときには、自尊心と言語的援助要請スキルが低いと「気位の高さ」「汚名の心配」を感じやすいことが明らかになった。しかし、援助要請意図に影響を及ぼす援助要請抑制要因は「相談の必要性の低さ」であった。次に「性格・外見・健康の悩み」では自尊心と言語的援助要請スキルが低いと相談行動に「物理的コスト」「汚名の心配」を感じやすいことが明らかになった。また、言語的援助要請スキルが低いことが直接、援助要請意図に影響し、「物理的コスト」を高く感じることで援助要請できないことにつながることが示唆された。「学業・進路の悩み」は言語的援助要請スキルが低いと、「自己開示の不安」「汚名の心配」が高く、自尊心が低いと悩みを重大に考えないこと明らかになった。また、悩みを重大に考えないことが援助要請しないことにつながることが明らかになった。