方法

回答者と実施方法
調査の対象者は、地方国立大学の心理学と幼児教育関係の授業を受講している学生195名であった。ただし、回答に不備の見られた者がいたため、それらを除いた男性68名と女性112名の合計180名を調査の対象者とした。なお、平均年齢は19.7歳(18〜23歳,SD=1.2)であった。
調査の手続きは、講義時間内に質問紙を配布し一斉に実施した。
調査の時期は、2006年12月であった。

調査内容
質問紙で使用した尺度について述べる。

  1. ECR-GO(中尾・加藤,2004)
    ECR-GOは、Brennan et al.(1998)が開発した恋人を対象とした愛着スタイル尺度であるECR(the Experiences in Close Relationships inventoryの略)を、一般化された他者を対象とした愛着スタイルが測定できるように作成したものである。なお、ECRはBartholomewの愛着スタイルの親密性の回避と見捨てられ不安の2因子を測定するために作成された多項目式尺度である。
    項目数は30項目であるが、本研究では親密性の回避を測定する12項目から8項目と見捨てられ不安を測定する18項目から8項目の合計16項目を用いた。なお、項目を削除した主な理由は、親密性の回避では他者の支援を期待できるかによる親密な関係の希求や回避について適切に測定していないと考えられるためである。見捨てられ不安では自己を価値ある存在と思えるかによる他者と関わることへの不安の程度について適切に測定していないと考えられるためである。
    教示は、中尾・加藤(2004)の教示を参考にして作成した。
    評定方法は、中尾・加藤(2004)に従い、全くあてはまらないを1、非常によくあてはまるを7とする7件法を用いた。

  2. RQ(Relationship Questionnaireの略)(加藤,1998/9)
    RQは、Bartholomew&Horowitz(1991)が開発したBartholomewの愛着スタイルの4分類を測定する尺度(RQ)の邦訳(加藤,1998/9)である。なお、RQは一般他者に対する愛着スタイルを測定する尺度である。そして、愛着スタイルの4分類それぞれについての文章から自分に最も当てはまる文章を1つ選択することで測定する。
    また、Griffin&Bartholomew(1994)が他者観と自己観を算出する方法を提案しており、愛着スタイルの4分類だけでなく他者観と自己観を測定することも可能である。しかし、本研究では愛着スタイルの4分類のみ測定した。それは、ECR-GOによって他者観と自己観を測定できるためである。なお、ECR-GOで測定するのは既存の愛着スタイル尺度についての因子分析を踏まえて作成されているため妥当性が高く、多項目式尺度であり量的な分析がしやすいためである。
    文章は、安定型の文章の一部分を修正して使用した。それは、Bartholomewら(1991)の安定型を適切に測定できないと考えられるためである。
    教示は、加藤(1998/9)を参考にして作成した。

  3. 認知的評価測定尺度(鈴木・坂野,1998)
    認知的評価測定尺度は、従来の認知的評価の構成概念や認知的評価を測定する尺度の下位尺度の構成を踏襲し、影響性の評価、脅威性の評価、コミットメント、コントロール可能性の4因子を各2項目で測定する合計8項目の尺度である。なお、様々なストレス場面に適応でき、対処行動や心理的ストレス反応を予測することが可能である。
    本研究では8項目すべてをそのまま用いた。
    教示は、友人関係に起因する対人ストレスに対し普段行っている認知的評価を測定できるように、加藤(2002)と岡安(1992)の教示を参考に作成した。教示の友人関係で生じるストレスの具体例は、加藤(2002)と岡安(1992)で使用されており、橋本(1997)の対人葛藤に該当すると考えられるものから選択した。これは、友人関係で生じるストレスは対人劣等や対人摩耗が比較的少ないと考えられることとストレスの種類を統一した方が回答しやすいと考えられることのためである。
    評定方法は、全く感じないを1、あまり感じないを2、少し感じるを3、わりと感じるを4、とても感じるを5とする5件法を用いた。5件法とした理由は、愛着スタイルの差をより測定できると考えたためである。

  4. 対人ストレスコーピング尺度(加藤,2000)
    対人ストレスコーピング尺度は、友人関係を起因としたストレスフルなイベントに対し普段使用しているコーピングを測定する特性的コーピング尺度であり、ポジティブ関係コーピング、ネガティブ関係コーピング、解決先送りコーピングの3因子を測定する。
    項目数は34項目であるが、本研究ではポジティブ関係コーピング16項目から13項目、ネガティブ関係コーピング10項目から8項目、解決先送りコーピング8項目から7項目の合計28項目を用いた。項目を削除した主な理由は、各コーピングを適切に測定できないと考えられるためである。
    教示は、加藤(2002)と岡安(1992)の教示を参考にして作成した。なお、教示の友人関係で生じるストレスの具体例は、認知的評価と同じものを使用した。
    評定方法は、加藤(2000)は4件法を用いているが、全くしないを1、たまにするを2、時々するを3、よくするを4、いつもするを5とする5件法を用いた。それは、5件法とすることで愛着スタイルの差をより測定できると考えたためである。

なお、性別、年齢、学年については表紙で質問した。