要 約  


 本研究では、健康な小学生が病気の子どもに対してどのような態度を持つのかということを検討した。

 児童期における共感性の発達と病気の知識の発達が、病気の子どもに対する態度にどのように影響しているのかを検討することを目的として、調査を行った。

 小学1〜6年生41名を対象に、個別面接によって、以下の4つを実施した。
(1) 「共感性質問項目」
 浅川・松岡(1984)の共感性質問項目を使用
(2) 「病気の知識に関する質問」
 Bibace&Walsh(1980)を参考に独自に作成したものを使用
(3) 「ストーリー課題」と「病気の子どもに対する態度に関する質問」
 病気の子どもが登場するストーリー課題と病気の子どもに対してどのように接するかを尋ねる質問を独自に作成して使用
(4) 「入院・病気経験の有無を尋ねる質問」

 調査の結果、以下のことが明らかになった。
1.共感性は、低学年群と高学年群との間で有意差がみられた。
2.病気の知識は、各学年群間において有意差はみられなかった。
3.共感性が高い群は、共感性が低い群よりも態度得点が有意に高かった。
4.病気の子どもに対する態度には、共感性が影響を及ぼしていた。

 以上の結果から、病気の子どもに対する態度には、児童期における共感性の質的な変化が影響を及ぼしていることが示唆された。
 支援の1つとして、健康な子どもの共感性を高めるような支援を行っていく必要性が示唆された。



 【キーワード】  小学生、病気の子ども、共感性、病気に関する知識、態度



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