1.調査対象者国立M大学の学生211名(男子65名,女子146名,平均年齢19.11歳)。有効回答者数194名(男子56名,女子138名)。 有効回答者数のうちアルバイト経験者は163名(男子47名,女子116名)。 その中でクラブ・サークル活動をしている者は123名(男子33名,女子90名)だった。 2.調査方法質問紙法。2008年12月前半に授業時間中に回答してもらい,その場で回収した。 3.質問紙の構成フェイスシート,アルバイトに関する基本的項目,アルバイト動機づけ尺度,職務満足感尺度,大学生用学習動機づけ尺度,大学生活満足感,自律性,自由記述からなる質問項目で構成した。フェイスシートでは調査についての説明をし,調査協力者の基本属性(学部,学年,年齢,性別)を尋ねた。(1)アルバイトに関する基本的項目 1.アルバイト経験の有無 「現在アルバイトをしている」「現在はアルバイトをしていないが,過去にアルバイトをしていた」「アルバイトは一度もしたことがない」の3つの中から選択するよう求めた。アルバイト経験の無い者には,アルバイトをしない理由についても尋ねた。 さらにアルバイト経験の無い者には,次からのアルバイトに関する質問には回答を求めず,大学生用学習動機づけ尺度の質問から引き続き回答するよう指示した。 2.現在もしくは過去のアルバイトの職種 飲食店員,コンビニ店員などの20通りの一覧から一つを選ばせ,当てはまる項目が 無い者には,その他にその職種を書いてもらった。現在アルバイトをしている者は その職種を,過去にアルバイトをしていた者は一番長く続いた職種を選択するよう 求めた。またアルバイトを複数かけもちしている場合も一番長く続いている職種を 選択するよう求めた。なお「今後のアルバイトに関する質問」については,ここで 選択した職種を思い浮かべながら答えるよう指示した。 3.アルバイトの勤務期間 現在アルバイトをしている者には「アルバイトを始めてから現在までの期間」を, 過去にアルバイトをしていた者には「アルバイトを始めてから辞めるまでの期間」 を答えるよう求めた。 4.1週間のアルバイトの勤務時間 現在もしくは過去のアルバイトについて,1週間のおおよその勤務時間を答えるよう求めた。 5.アルバイトの時給 現在もしくは過去のアルバイトの時給について,「700円以上800円未満」「800円以上900円未満」「900円以上1000円未満」「1000円以上1200円未満」「1200円以上1500円未満」「1500円以上2000円未満」「2000円以上」の7通りの選択肢から,当てはまるものを選択するよう求めた。 (2)アルバイト動機づけ尺度 自己決定理論に基づいて,加藤ら(2002)が作成したアルバイト動機づけ尺度を用いた。それぞれの項目は「内発的動機づけ因子」「統合的調整因子」「同一化的調整因子」「取り入れ的調整因子」「外的調整因子」の5つの下位尺度から構成される。すべての職種に適用させるため,接客の職種に限定された1項目を除く18項目を使用し,「今のアルバイトの仕事そのものが好きだから」といった現在に限定する項目は「今の」という言葉を省いて用いた。各項目に対して,現在もしくは過去にアルバイトを続けていた理由について「かなりあてはまる」「少しあてはまる」「どちらでもない」「あまりあてはまらない」「全くあてはまらない」の5件法で評定させ,各項目の得点を5−1点とした。 (3)職務満足感尺度 加藤ら(2002)が作成したものを用いた。それぞれの項目は「職務内容因子」「対人関係因子」の下位尺度から構成されており,全10項目で尋ねた。現在もしくは過去のアルバイト活動について「とてもあてはまる」「あてはまる」「少しあてはまる」「あてはまらない」の4件法で評定させ,各項目の得点を3−0点とした。 (4)大学生用学習動機づけ尺度 自己決定理論に基づいて岡田・中谷(2006)が大学生用に作成したものを用いた。それぞれの項目は「内発因子」「同一化因子」「取り入れ因子」「外的因子」の4つの下位尺度から構成される。さらにアルバイト動機づけ尺度と因子を対応させるため,加藤ら(2002)を参考に「統合因子」を3項目加えた全37項目で尋ねた。現在もしくは過去にアルバイトをしていたときのことを思い浮かべ,大学での授業や試験,実習など大学と関わりのある学びについて,どのような理由で行っているかを「あてはまる」「少しあてはまる」「どちらでもない」「あまりあてはまらない」「あてはまらない」の5件法で評定させ,各項目の得点を5−1点とした。アルバイトをしていない者には現在のことについて答えるよう求めた。 (5)大学生活満足感 樋口(2007)が作成したものを用いた。それぞれの項目は「クラブ・サークル活動への満足感」「交友関係への満足感」「授業への満足感」の3つの下位尺度から構成されており,全15項目で尋ねた。現在もしくは過去にアルバイトをしていたときのことを思い浮かべながら,大学生活について「非常によくあてはまる」「あてはまる」「どちらでもない」「あてはまらない」「全くあてはまらない」の5件法で評定させ,各項目の得点を5−1点とした。アルバイトをしていない者には現在のことについて答えるよう求めた。さらにクラブ・サークル活動を行っていない者には「0.この問いに該当しない」を選択するよう指示した。 (6)自律性 西田(2000)が作成した心理的Well−being尺度の下位尺度である「自律性」全8項目を使用した。普段の行動について「非常によくあてはまる」「あてはまる」「少しあてはまる」「あまりあてはまらない」「あてはまらない」「全くあてはまらない」の6件法で評定させ,各項目の得点を6−1点とした。 (7)自由記述 アルバイトと大学での学びをどのように捉えているか自由に記述するよう求めた。 |