【方法】

1.調査全体の流れ

2.第一段階の調査について

3.質問紙の構成

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1.調査全体の流れ

二段階にわけて質問紙調査を行う。第一段階では、自己概念項目に関する主観的評定を行う。それを基に、理想自己の観点・現実自己の観点それぞれから、自己概念項目(41項目)の類似性をみるマップを作成する。第二段階においては、第一段階とは別の被験者の、その個人の理想自己・現実自己を、自己概念項目(第一段階と同一の41項目)から1項目ずつ選択することとする。その項目間の距離を第一段階で作成した2種類のマップそれぞれにおいて計算する。この項目間の距離の値を理想−現実自己のズレの大きさとする。この値と、第二段階で評定された理想自己志向性の関連を検討する。
理想自己の形成は、両親・家族、教師や友人、あるいはメディアなどによって伝達される価値の内在化に影響されていると考えられている。つまり、その個人の所属組織のもつ価値が理想自己の形成に関わっているといえる。そこで、国立M大学生において自己概念項目の類似性をみるマップを作成し、そのマップを基に理想−現実自己のズレを算出することができると考える。


2.第一段階の調査について

(1)調査方法
質問紙法。M大学で行われる授業において、授業時間内に質問紙を配布し、回答を求め、回収を行う一斉配布、一斉回収方式による質問紙調査を実施した。質問紙を一斉回収した後、実施した質問紙における目的の資料を配付し、簡単に説明を行った。回答時間は約20分間であった。
(2)分析対象
国立M大学生207名(男子78名、女子129名)。平均年齢19.81歳(SD=1.17)(男子:19.55歳[SD=1.32]・女子:19.96歳[SD=1.05])。
(3)調査実施時期
2008年12月。
(4)質問紙構成
・自己概念項目に関する主観的評定
まず、自己概念項目を41項目設定した。田中・天貝(2003)のP項目29項目に、山本(1993)、小塩・小平(2005)、松岡(2006)、岡田(2007)を参考に項目を追加して作成した(Table1)。設定した自己概念項目に対してそれぞれ、理想自己評定・現実自己評定を7件法で求めた。
理想自己については、「あなたは次の項目があらわすような人間にどの程度なりたいと思いますか」という問いによって、ランダムに並べた自己概念項目41項目に対してそれぞれ、「非常になりたい(7)」から「全くなりたくない(1)」までの7件法で評定を求めた。回答の得点化にあたっては、項目になりたい度合いが強いほど高得点となるようにした。
現実自己については、「あなたは次の項目についてどの程度実際のあなたにあてはまると思いますか」という問いによって、ランダムに並べた自己概念項目41項目に対してそれぞれ「非常にあてはまる(7)」から「全くあてはまらない(1)」までの7件法で評定を求めた。回答の得点化にあたっては、項目にあてはまる度合いが強いほど高得点となるようにした。


3.第二段階の調査について

(1)調査方法
質問紙法。M大学で行われる授業において、授業時間内に質問紙を配布し、回答を求め、回収を行う一斉配布、一斉回収方式による質問紙調査を実施した。質問紙を一斉回収した後、実施した質問紙における目的の資料を配付し、簡単に説明を行った。回答時間は約20分間であった。
(2)分析対象
国立M大学生204名(男子55名、女子149名)。平均年齢19.79歳(SD=1.2)(男子:19.98歳[SD=1.22]・女子:19.72歳[SD=1.18])。
(3)調査実施時期  
2008年12月。
(4)質問紙構成
@理想自己の選択
第一段階と同一の自己概念項目41項目(Table1)の中から、「あなたが次の項目の中で最もなりたいと思うものはどれですか」という問いによって、1項目を選択することを求めた。またあてはまる項目が無い場合は、あなたが最も「自分がこうなりたい」と思う項目に一番近い1項目を選択するように求めた。
A現実自己の選択  
第一段階と同一の自己概念項目41項目(Table1)の中から、「あなたが次の項目の中で最も実際のあなたにあてはまると思うものはどれですか」という問いによって、1項目を選択することを求めた。またあてはまる項目が無い場合は、あなたが最も「実際の自分にあてはまる」と思う項目に一番近い1項目を選択するように求めた。
B自己視点における理想−現実自己のズレの程度の評定
@で選択した自己概念項目を理想自己とし、「理想の自分は、実際の自分とどの程度ズレていると思いますか」という問いによって「非常にズレている(10)」から「全くズレていない(0)」の11件法で評定を求めた。
C理想自己に対する志向性の評定
山田(2004)が作成した理想自己志向性尺度を使用した。@で選択した自己概念項目を理想自己とし、それに対する自分の態度について、11項目それぞれに対して「非常にあてはまる(5)」から「全くあてはまらない(1)」の5件法で評定を求めた。○○には@で選択した自己概念項目を当てはめるように教示した。
D理想自己実現手段の有無
水間(2002)を参考に、「あなたは○○の実現のためにどうしたらいいか、具体的な手段(プラン)をもっていますか」という問いによって、「もっている」または「もっていない」の2件法で評定を求めた。○○には@で選択した自己概念項目を当てはめるように教示した。
E理想自己実現行動の有無、および行動希求の有無
水間(2002)を参考に、Dにおいて「もっている」と答えた被験者に対しては「あなたは○○の実現のために、実際に何か行動していますか」という問いに対して「はい」または「いいえ」の2件法で回答を求めた。Dにおいて「もっていない」と答えた被験者に対しては「あなたは○○の実現をめざして、何か行動をしたいと思っていますか」という問いに対して「はい」または「いいえ」の2件法で回答を求めた。○○には@で選択した自己概念項目を当てはめるように教示した。




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