(1)手続き

2008年12月上旬、国立M大学の授業時間を利用して、質問紙の調査を実施した。
(2)調査対象者

国立M大学の大学生167名を対象に調査を実施した。このうち記入漏れのない有効回答者148名(男性50名、女性98名、平均年齢19.90歳、18-27歳、標準偏差1.60)を分析対象とした。
(3)質問紙の構成

1.
コーピング尺度
尾関(1993)のコーピング尺度を用いた。このコーピング尺度は、その時点で個人が経験しているもっとも重要なストレッサーに対するコーピングの個人差を測定する尺度で、14項目からなる。問題焦点型コーピング、情動焦点型コーピング、回避・逃避型コーピングの3下位尺度から構成されており、信頼性(内的整合性α=.62−.65)と妥当性が確認されている。項目数は、問題焦点型コーピング5項目、情動焦点型コーピング3項目、回避・逃避型コーピング6項目であった。
まず、“ここ最近、あなたが実際にストレスを感じていることを思い浮かべてください。そのことに対して、どのように考えたり、行動していますか”という教示のもと、コーピング尺度14項目に対して評定させた(pre-test)。その後、“あなたがストレスを解決するための行動を行ってもすぐに効果が出なかったとき、あなたはどのように考えたり、行動していますか”という教示のもと、再度コーピング尺度14項目に対して評定させた(post-test)。pre-test、post-testともに、4件法(よくあてはまる=3、少しあてはまる=2、あまりあてはまらない=1、まったくあてはまらない=0)で評定させた。
2.
コーピング認知尺度
尾関(1993)のコーピング尺度14項目に関し、それぞれ「有効性の認知」、「長期的・短期的な有効性の認知」、「コスト」、「好み」という4つの観点から評定させた。一つの観点について14項目すべてに回答した後、次の観点に回答させる形式をとった。4つの認知についての質問内容は以下の通りである。
(@)有効性の認知:“あなたがストレスを解決するうえで、次のように行動したり考えたりすることは、役に立つと思いますか。”と教示し、4件法(非常に役に立つ=3、少し役に立つ=2、あまり役に立たない=1、全く役に立たない=0)で評定させた。
(A)長期的・短期的な有効性の認知:“あなたがストレスを解決するうえで、次のように行動したり考えたりすることは、効果が出るのにどれくらい時間がかかると思いますか。”と教示し、「しばらく続けると」〜「すぐに」の4件法で評定させた。
(B)コストの認知:“あなたがストレスを解決するうえで、次のように行動したり考えたりすることは、実際に行うのがどれくらい大変だと思いますか。”という教示のもと4件法(非常に大変だと思う=3、少し大変だと思う=2、あまり大変だと思わない=1、全く大変だと思わない=0)の4件法で評定させた。
(C)好みの認知:“あなたがストレスを解決するうえで、次のように行動したり考えたりすることを、どれくらい好きだと思いますか。”という教示のもと4件法(非常に好きだ=3、少し好きだ=2、あまり好きではない=1、全く好きではない=0)の4件法で評定させた。
3.
心理的ストレス反応尺度
鈴木・嶋田・三浦・片柳・右馬埜・坂野(1997)の心理的ストレス反応尺度(Strees Response Scale :
以下SRS-18とする)を用いた。この尺度は日常場面において経験されるストレス反応を測定することが可能な尺度であり、信頼性と妥当性が確認されている(鈴木ほか、1997)。項目数は18項目であった。“ここ最近のあなたの気分についてお聞きします”という教示のもと4件法(よくあてはまる=3、少しあてはまる=2、あまりあてはまらない=1、全くあてはまらない=0)で評定させた。
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