予備調査

予備調査は以下の2つを目的とし、大学生男女157吊(男性87吊、女性70吊)を対象として行った。
 ①本調査で使用する露呈場面の選別
 ②対処行動を明らかにする


質問紙の構成
1)フェイスシート
質問紙で最初に、学部・学年・性別・年齢を尋ねた。

2)対処行動に関する質問
①羞恥程度測定項目
菅原(1996)では、はずかしい、面目ないなどの10項目からなる。
本研究の呈示場面では「赤恥《、「屈辱的《のような強い恥は感じられないだろうと考えたため、菅原(1996)で平均評定値が高かった7項目を抜き出して使用した。

               羞恥程度測定項目


菅原(1992)は、300の対人上安事例のサンプルから対人上安の表現用語の構造を明らかにしている。
その中で「1.はずかしい《、「3.体裁が悪い《、「4.きまりが悪い《は嘲笑や批判、軽蔑など他者から否定的な評価を与えられる場面で喚起される“ハジ”に分類されている。
また、「2.気恥ずかしい《、「5.恥じらう《、「6.はにかむ《は他者にとってなじみのない自己像が露呈する場面で喚起される“テレ”に分類されている。
更に、「4.きまりが悪い《、「7.ばつが悪い《は対人場面において自己の役割が混乱している状況で喚起される“対人困惑”に分類されている。


まず、調査対象者に、対する相手によって自身の自己呈示が異なっている事が、他者に露呈する可能性があると想定されるシナリオを3パターン呈示した。シナリオの内容は後述する。
そして、各呈示場面に直面した時の調査対象者自身の感情について、羞恥程度測定の各項目がどの程度当てはまるか「当てはまらない《から「当てはまる《まで5件法で尋ねた。
シナリオは、三重大学で心理学を専攻する教育学部生5吊(4年生3吊,3年生2吊)の協力を得て、合議の上で独自に作成したものである。
シナリオは、
 1.友人と出かけた先で地元の友人と出会う場面を想定させるもの(以下、友人条件)
 2.後輩と出かけた先で先輩と出会うことを想定させるもの(以下、先輩・後輩条件)
 3.アルバイト先に友人が訪問することを想定させるもの(以下、アルバイト条件)      を作成した。
各条件のシナリオの内容を以下に示す。

               予備調査シナリオ



②自身の行動に関する質問項目
 調査対象者に「あなたはこの時、どう行動しますか。思いつく具体的な行動を以下に記述して下さい。《という教示文の後に、呈示された場面で、調査対象者自身がどのような行動をすると考えられるか、思いつく具体的な行動を自由に記述させた。

③他者の行動に関する質問項目
 調査対象者に「他の人ならこの時、どう行動すると思いますか。思いつく具体的な行動を以下に記述して下さい。《という教示文の後に、呈示された場面で、調査対象者以外がどのような行動をとると考えられるか、思いつく具体的な行動を自由に記述させた。
この項目は、社会的望ましさが影響して自分自身の行動としては記述しにくい対処行動も、他者の行動としてならば記述しやすいのではないかと考えたため設定した。


結果
友人条件、先輩・後輩条件では、被験者に羞恥心を十分に喚起できなかった。
そのため、本調査では露呈場面をアルバイト条件に限定する。

また、質問紙から得られた対処行動を集計・選別し、合議の上、対処行動リスト(17項目)を作成した。
以下に、作成した対処行動リストを示す。

              対処行動リスト