6.本研究の目的





 以上のことから、本研究の目的は以下の2点にまとめられる。


 第一の目的は、先延ばし行動と楽観性との関連の検討することである。先延ばし行動傾向については、不適応的な側面である受動的先延ばし行動傾向と適応的な側面である積極的先延ばし行動傾向の存在が示唆されており(Chu & Choi,2005;Chu & Moran,2009)、本研究においてもこの2つの先延ばし行動傾向を捉えることとする。楽観性については、安藤ら(2000)が指摘するように多面的に楽観性を捉えることにより、楽観性のどのような側面が先延ばし行動と関連しているのかを検討できると考えられる。また、従来の研究で関連が示唆されてきた自己効力感や評価不安の高低における、楽観性が先延ばし行動に与える影響の差を検討する。


 第二の目的は、先延ばし行動類型を明らかにし、各類型の特徴について検討することである。先延ばし行動傾向は、個人によってスタイルがあり、そのスタイルはある程度分類することができると考える。従来の研究では、受動的先延ばし行動と積極的先延ばし傾向の両側面を扱った研究が少なく、さらに個人の先延ばし行動傾向のスタイルを検討した研究はみられない。本研究では先延ばし行動類型を明らかにし、各類型における楽観性や自己効力感、評価不安の観点から特徴を検討することで、従来の研究よりも詳細に先延ばし行動傾向を捉えることができると考える。