研究1
1. 方法
1-1. 調査目的
青春を満喫している人について、どのようなイメージを抱いているかを明らかにし、「青春度」の概念について検討する。
1-2.調査対象
三重大学の大学生を対象に自由記述による質問紙調査を行った。そのうち回答に不備がみられたものを除外し、71名(男子38名、女子33名)を分析の対象とした。平均年齢は20.08歳、標準偏差は0.99であった。
1-3.調査手続き・時期
質問紙を大学の講義時間に配布し、回収した。調査時期は、2013年7月である。
1-4. 質問紙の構成
中学校の学校生活を思い出し、青春を満喫している人をイメージして自由記述によって回答を求める質問紙である。部活動での様子、クラスでの様子、学校行事(体育祭、文化祭、合唱コンクールなど)での様子、流行への関心やファッションや容姿(例:制服の着こなしなど)、恋愛や異性との付き合い方、委員会や生徒会での様子、その他の7つの場面を設定した。
フェイスシートにおいて性別、年令、学年について尋ねた。
2. 結果
得られた記述を各場面(部活動・クラス・学校行事・流行への関心・恋愛や異性・委員会)ごとに分類した。そのうち出現数の上位3項目を挙げた(Table1)。なお、「誰かと付き合っている」や「付き合っている人がいる」など同義と思われるものは同じものとして扱った。
部活動の様子では、レギュラーとして活躍している、大会に出ているなど一生懸命取り組んでいることに関する記述、仲間を大事にしていることに関する記述、所属している部活が運動部(野球部、サッカー部、テニス部、バレー部、バスケ部)か吹奏楽部、強豪の部活という記述、ムードメーカー、部長、皆を引っ張っていることに関する記述に分けられた。
行事での様子では、団結・本気で取り組んでいることに関する記述、運営委員、リーダー的存在であることに関する記述、楽しんでいる、騒いでいるといった記述、行事の内容に関する記述に分けられた。クラスでの様子では、友達が多いことに関する記述、ムードメーカー、笑顔の人、勉強ができるかできないかといった記述がみられた。
流行への関心やファッションや容姿では、制服は少し規則を破る、制服へのこだわりなどの制服に関する記述、休日は流行への関心が高く、自分のしたい格好を楽しんでいるといった記述がみられた。恋愛や異性との付き合い方では、彼氏・彼女がいることに関する記述、男女関係なく対等に接している、異性からも同性からも人気があるなどの記述がみられた。
委員会や生徒会での様子では、生徒会・委員長・実行委員に所属している人という記述と、発言力や積極性があるという記述、一生懸命でみんなを引っ張っている人という記述がみられた。その他では、やりたいことをやっている人、遊んでいる人、楽しんでいる人などが挙げられていた。

3.考察
鈴木(2012)はスクールカーストの上位の生徒の特徴をにぎやかな生徒、気が強い生徒、若者文化へのコミットメントが高い生徒、異性の評価が高い生徒であると述べている。また、運動部で成果を発揮している生徒は、スクールカーストの地位と相関関係があることを述べている。スクールカーストの上位の生徒の特徴と自由記述の質問紙の結果と共通する部分が多く見られた。部活動の様子では一生懸命取り組んでいる人が多く挙げられていることから、スクールカーストの上位の者の特徴と共通していると言える。流行への関心の項目では、少し規則を破って制服を着ている人や、流行への関心が高い人が上位に挙げられ、若者文化へのコミットメントが高い生徒と共通するといえる。クラスの様子では、休み時間や放課後、友達に囲まれている人が上位に挙げられ、にぎやかな生徒と共通するといえる。しかし、スクールカーストの上位の生徒の特徴である気が強い生徒に関しての記述は多く得られなかった。リーダー的存在という記述は多く挙げられたが、性格的に気が強いかどうかは明らかではない。以上のことから、大学生が中学校の学校生活を思い出し、青春を満喫している人をイメージするとスクールカーストの上位の者の特徴とほとんどが一致するといえる。