6.本研究の目的と仮説

以上のことより本研究の目的を3つにまとめる。

第一の目的はハーディネスと自己充実的達成動機、方略・失敗活用志向、失敗恐怖との関連を検討することである。自己充実的達成動機との関連については、城(2011)で、ハーディネスと自律性との関連から推測できる。石原(2013)が述べているように、自律性とは、自分と相手の自主性を自分の幸福と捉える傾向のことである。また達成動機の2下位尺度の概念は、自己充実的達成動機が、他者・社会の評価にはとらわれず、自分なりの達成基準への到達をめざす達成動機であり、競争的達成動機が、他者をしのぎ、他者に勝つことで社会から評価されることをめざす達成動機である。自律性の関連から考えると、ハーディネスと達成動機の関連については、競争的達成動機よりも、自己充実的達成動機との関連のほうが強いと予想できる。方略・失敗活用志向、失敗恐怖との関連については、城(2011)で、ハーディネスが高い場合、物事の良い面に目を向けるという傾向があることから、失敗に対してもポジティブに捉える傾向が予想できる。

第二の目的は、ハーディネスと多面的楽観性の関連を明らかにすることである。城(2011)では、ハーディネスと楽観性の関連が述べられているが、ポジティブ思考との関連をみたものにとどまっている。多面的楽観性でポジティブ思考にあてはまるものは、肯定的期待にあてはまる。ポジティブ思考も肯定的期待も、将来に対するポジティブな予測であるからである。その他の下位尺度との関連については、分析を通して明らかにしたい。

第三の目的として、以上の内容で関連が明らかになった場合、それぞれの概念の組み合わせによって、失敗に対する認知にどのように影響するかも検討したい。

 

以上のことから、本研究での仮説を以下のようにたてる。

1.ハーディネスが高い者は、自己充実的達成動機が高い。

2.ハーディネスが高い者は、失敗恐怖が低く、方略・失敗活用志向が高い。

3.ハーディネスが高い者は、楽観性が高い。とくに、肯定的期待との関連が強い。

4.ハーディネスと楽観性と自己充実的達成動機が合わさったときに、方略・失敗活用思考が最も高くなり、失敗恐怖が最も低くなる。

 

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