1.事前調査



【目的】

 本実験において抑うつ得点の高い者、アレキシサイミア得点の高い者を除くため、また構造化開示群・非客観視群に振り分ける際に、抑うつの点数の平均やSDをおおよそ等しくするため、実験参加者の抑うつ得点を明らかにする。


【方法】


対象者:大学生99名に質問紙調査を行った。回答に不備がみられた3名を除き、96名(男性35名、女性61名)を分析の対象とした。平均年齢は19.22歳、標準偏差は1.06であった。

実施時期:2014年11月

質問紙:一般教養向けに開講されている心理学の講義を受講している大学生に対して、自身の自己理解を調査するという旨を伝えて、質問紙を配布した。
     調査形式は、その場で回答を求め回収する一斉配布、一斉回収の方法をとり調査を実施した。事前調査で使用した質問紙は以下の2つの尺度によって構成された。


Tront Alexithymia Scale 20 項目改訂版日本語版(20項目)
 Tront Alexithymia Scale 20 項目改訂版日本語版(Bagby, Parker, & Taylor, 1994 ; 小牧・前田・有村・中田・篠田・緒方・志村・川村・久保田, 2003 ; 以下TAS-20と略記)。TAS-20は、全20 項目からなる自己記入式の尺度で、アレキシサイミア傾向を測定することができる。各項目について、1(全くあてはまらない)〜5(とてもよくあてはまる)の5 件法で回答する。


Center for Epidemiologic Studies Depression Scale日本語版(20項目)
 Center for Epidemiologic Studies Depression Scale日本語版(Radloff, 1977;島・鹿野・北村・浅井, 1985;以下CES-D と略記)。CES-D は、うつ病の疫学研究用に開発された全20 項目からなる自己記入式の尺度で、現在の抑うつ状態を測定することができる。各項目について、最近1週間での経験頻度を1(全くない、または続かない)〜4(5日以上)の4 件法で回答する。表2に各項目を付記する。


【結果】

 大森(2013)に従い、抑うつ尺度CES-Dの各項目の合計点を尺度得点とし、平均点と標準偏差を実験群ごとに算出した。それぞれの群において、20項目のα係数を求めたところ0.72、0.71を示し、内的整合性がみられた(表3)。また、2つの群間における差の検定を行ったところ、有意な差はみられなかった。以上より、抑うつ特性に関して、2群に均等に分配されたと考える。