仮説




1. 対象者
 国立M大学に在籍する276名を対象に質問紙調査を行った。回答に不備のある者は見られず、そのまま276名(男性138名、女性138名)を分析の対象とした。平均年齢は20.26歳であった。

2. 実施時期
 2014年12月

3. 手続き
 大学の講義で筆者が質問紙を配布し、その場で回答させ、回収した。

4. 質問紙の構成
 質問紙は、シナリオ文、「優れた性質を自身が獲得できる可能性の認知」の測定、「優れた性質を自身が獲得できなかった原因を何に帰属させたか」の測定と以下の2つの尺度によって構成した。

4-1. シナリオ文
 井上・村田(2014)が用いたシナリオ文を参考に、4種類のシナリオ文を作成した。架空の能力を数値化したものとされるER指数が、「大学生の段階でも高まることが研究から明らかになっており、ER指数を高めるためのトレーニングを数か月にわたり行った大学生の88%以上でER指数の高まりが見られた。」とすることで獲得可能性を「高」と操作した。「大学生の段階では今後ほぼ変化しないことが研究から明らかになっており、ER指数を高めるためのトレーニングを数か月にわたり行った大学生の0.2%しかER指数の高まりが見られなかった。」とすることで獲得可能性を「低」と操作した。また、ER指数が伸びなかった原因を「あなたは友人と同じコーチからトレーニングを数日間にわたり受けた」とすることで内的に帰属するように操作し、「あなたは友人と異なるコーチからトレーニングを数日間にわたり受けた」とすることで外的に帰属するように操作した。1つの質問紙につき1種類のシナリオ文を載せ,それぞれの回答者に対して1種類のシナリオについての回答を求めた。

4-2. 優れた性質を自身が獲得できる可能性の認知の測定(2項目7件法)
 井上・村田(2014)が用いた操作チェック項目を参考に作成した。「ER指数はこれから伸びる」及び「ER指数をこれから伸ばすことはできない」の2項目で、「まったく当てはまらない」から「よく当てはまる」の7件法で回答を求めた。

4-3. 優れた性質を自身が獲得できなかった原因を何に帰属させたかの測定(2項目7件法)
 井上・村田(2014)が用いた操作チェック項目を参考に作成した。「ER指数は努力によって伸びる」及び「ER指数は指導者の良い教え方によって伸びる」の2項目で、「まったく当てはまらない」から「よく当てはまる」の7件法で回答を求めた。

4-4. 妬み感情尺度(13項目4件法)
 澤田(2001)が用いた妬み感情語リスト(「不満だ」「くやしい」「うらむ」など13項目)を用いて、各場面でそれぞれの感情をどの程度感じるかについて「そう思う」「少しそう思う」「あまりそう思わない」「そう思わない」の4件法で回答を求めた(表2)。



4-5. 妬みの対処方略尺度(25項目4件法)
 原(2014)が作成したものを参考にした。「自己補強」「破壊的関与」「意図的回避」「感情抑圧」「他者介入型解決」の5つの下位因子からなり、各因子から負荷量の高い5項目を抜き出して作成した25項目について、「そうしない」「あまりそうしない」「たぶんそうする」「そうする」の4件法で回答を求めた(表3)。