仮説
井上・村田(2014)による、獲得可能性が妬みに及ぼす影響を検討した研究では、他者の成功を自らが獲得できる可能性が高いときには、低いときよりも妬み感情があまり感じられないことが示されたが、この検討では、原因の帰属については内的帰属についてしか考えられていない。しかし、坪田(1993)による、原因帰属が妬み感情に与える影響を検討した研究では、才能や努力といった内的原因よりも、運などの外的原因の場合に、妬み感情が強くなることが示された。獲得可能性と妬みについて考える際、獲得の理由を何に帰属させるかということを考慮せずに検討すると、獲得の可能性のために妬み感情が生起したのか帰属の原因のために妬み感情が生起したのか指摘することはできない。
本研究では獲得可能性の高低と原因帰属の内的、外的の2×2の4つの仮想的シナリオを用いて獲得可能性と原因帰属が妬み感情に与える影響について検討する。また、妬み感情を感じた際の対処方略との関連も検討する。
仮説1.獲得可能性低・外的帰属群は獲得可能性高・内的帰属群と比べて妬みが生じるだろう。
仮説2.原因を外的に帰属した場合、内的に帰属した場合と比べて、「破壊的関与」行動をとる傾向が高くなるだろう。
仮説3.妬み感情を感じた際、女性と男性では女性の方が「他者介入型解決」行動をとるだろう。
仮説4.妬み感情を感じた際、「破壊的関与」行動をとる傾向がある人は、妬み感情が強いだろう。