結果





 各下位尺度の記述統計及び信頼係数を表4に示す。

1. 操作チェック



 実験条件の操作が実験者の意図通りに働いているかを確認するため、実験条件を独立変数、操作チェックの項目を従属変数とした分散分析を行った(表5)。分散分析の結果、「ER指数はこれから伸びる」においては、獲得可能性の主効果のみ認められた(F(1, 272)=50.813, p<.001)。「ER指数をこれから伸ばすことはできない」においては、獲得可能性の主効果のみ認められた(F(1, 272)=41.361, p<.001)。また、「ER指数は努力によって伸びる」においては、獲得可能性と原因帰属の主効果が認められた(F(1, 272)=8.856, p<.01,10.874, p<.01)。「ER指数は指導者の良い教え方によって伸びる」においては、原因帰属の主効果と獲得可能性と原因帰属の交互作用が認められた(F(1, 272)=62.673, p<.001,6.141, p<.05)。



2. 相関係数
 シナリオごとの妬み感情尺度と妬みの対処方略尺度の下位尺度間の相関を表6-1から表6-4に示す。
 表6-1の相関の結果においては、「自己補強」は、「意図的回避」、「他者介入型解決」、「妬み感情」と正の相関を示した。「破壊的関与」は、「意図的回避」、「感情抑圧」、「他者介入型解決」、「妬み感情」と正の相関を示した。「意図的回避」は、「感情抑圧」、「他者介入型解決」、「妬み感情」と正の相関を示した。「感情抑圧」は、「他者介入型解決」、「妬み感情」と正の相関を示した。「他者介入型解決」は、「妬み感情」と正の相関を示した。



 表6-2の相関の結果においては、「自己補強」は、「他者介入型解決」、「妬み感情」と正の相関を示した。「破壊的関与」は、「意図的回避」、「他者介入型解決」、「妬み感情」と正の相関を示した。「意図的回避」は、「感情抑圧」、「妬み感情」と正の相関を示した。「感情抑圧」は、「他者介入型解決」、「妬み感情」と正の相関を示した。「他者介入型解決」は、「妬み感情」と正の相関を示した。



 表6-3の相関の結果においては、「自己補強」は、「感情抑圧」、「他者介入型解決」、「妬み感情」と正の相関を示した。「意図的回避」は、「他者介入型解決」、「妬み感情」と正の相関を示した。「感情抑圧」は、「他者介入型解決」、「妬み感情」と正の相関を示した。「他者介入型解決」は、「妬み感情」と正の相関を示した。



 表6-4の相関の結果においては、「自己補強」は、「他者介入型解決」と正の相関を示した。「破壊的関与」は、「妬み感情」と正の相関を示した。「意図的回避」は、「妬み感情」と正の相関を示した。「感情抑圧」は、「他者介入型解決」と正の相関を示した。「他者介入型解決」は、「妬み感情」と正の相関を示した。



3. 獲得可能性と原因帰属による各得点と分散分析結果

3-1. 獲得可能性(高・低)、原因帰属(内的・外的)と「妬み感情」との関連
 獲得可能性(高・低)と原因帰属(内的・外的)を独立変数、「妬み感情」を従属変数とした分散分析を行った。平均値、標準偏差を表7に示す。分散分析の結果、原因帰属の主効果のみ認められた(F(1, 272)= 6.221, p<.05)。



3-2. 獲得可能性(高・低)、原因帰属(内的・外的)と妬みの対処方略との関連
 獲得可能性(高・低)と原因帰属(内的・外的)を独立変数、妬みの対処方略尺度の下位因子の「自己補強」、「破壊的関与」、「意図的回避」、「感情抑制」、「他者介入型解決」を従属変数とした分散分析を行った。平均値、標準偏差を表8に示す。
 分散分析の結果、「自己補強」において、獲得可能性と原因帰属の交互作用が認められた(F(1, 272)=7.279, p<.01)。また、「破壊的関与」、「意図的回避」、「感情抑制」においては、原因帰属の主効果のみ認められた(F(1, 272)=5.309, p<.05, 4.506, p<.05, 4.034, p<.05)。「他者介入型解決」は交互作用およびいずれの主効果も認められなかった。



4. 実験条件と性差との関連

4-1. 実験条件による妬み感情と性差
 男女差の検討を行うために、原因帰属、獲得可能性についてt検定を行った。平均値、標準偏差を表9-1に示す。その結果、内的帰属(t=0.992, df=132.256, n.s.)、外的帰属(t=1.02, df=135, n.s.)、獲得可能性高(t=1.32, df=137, n.s.)、獲得可能性低(t=0.843, df=109.815, n.s.)のいずれも男女の得点差は有意ではなかった。



4-2. 実験条件による妬みの対処方略と性差
 男女差の検討を行うために、原因帰属、獲得可能性についてt検定を行った。平均値、標準偏差を表9-2に示す。その結果、意図的回避(t=2.35, df=273, p<.05.)と他者介入型解決(t=4.07, df=273, p<.001)について、男性よりも女性のほうが有意に高い得点を示していた。自己補強(t=1.62, df=270.872, n.s.)、破壊的関与(t=0.76, df=273, n.s.)、感情抑圧(t=0.28, df=273, n.s.)については男女の得点差は有意ではなかった。



5. 妬みの対処方略による分類
 妬みの対処方略尺度を用いて、Ward法によるクラスタ分析を行い、5つのクラスタを得た。第1クラスタには38名、第2クラスタには83名、第3クラスタには63名、第4クラスタには53名、第5クラスタには39名の調査対象が含まれていた。TukeyのHSD法(5%水準)による多重比較を行った(表10)。
 第1クラスタは、「自己補強」、「破壊的関与」、「意図的回避」、「感情抑圧」、「他者介入型解決」のすべてが低く、対処行動をあまりとらない傾向にあるため、「非対処行動」群とした。
 第2クラスタは、「自己補強」が高く、「意図的回避」、「感情抑圧」、「他者介入型解決」が中程度であり、「破壊的関与」が低く、自分の良いところを考え直すことで問題を良い方向にもっていきたいと考える傾向にあるため、「自己高揚行動」群とした。
 第3クラスタは、「感情抑圧」が高く、「自己補強」、「意図的回避」、「他者介入型解決」が中程度であり、「破壊的関与」は低く、あまり感情を表に見せない傾向にあるため、「感情非表出」群とした。
 第4クラスタは、「自己補強」、「意図的回避」が中程度で「破壊的関与」、「感情抑圧」、「他者介入型解決」が低く、一人で問題を解決しようとする傾向にあるため、「自己解決行動」群とした。
 第5クラスタは、「自己補強」、「破壊的関与」、「意図的回避」、「感情抑圧」、「他者介入型解決」のすべてが中程度であり、さまざまな対処方略を用いる傾向にあるため、「多様行動」群とした。




 次に、得られた5つのクラスタを独立変数、妬み感情を従属変数とした分散分析を行った。平均値、標準偏差を表11に示す。その結果、妬み感情に有意な群間差がみられた(F(4, 271)=15.87, p<.001)。TukeyのHSD法(5%水準)による多重比較を行ったところ、非対処行動群、自己解決行動群<自己高揚行動群、感情非表出群、多様行動群という結果が得られた。