結果
関係性認知が対人葛藤対処方略に及ぼす影響を検討するために、関係性認知の4下位尺度を独立変数、対人葛藤対処方略の4下位尺度をそれぞれ従属変数として重回帰分析を行った。
恋人群においては、関係性認知から「攻撃」への影響は有意な結果がみられなかった。「譲歩」、「対話」、「回避」ともに関係性認知の「重要性」が影響をおよぼしていた。「重要性」が「譲歩」(β=.350, p<.05)と「対話」(β=.403, p<.01)には正の影響を、「回避」(β=-.475, p<.001)には負の影響をおよぼしていることがわかった。
異性友人群においては関係性認知から対人葛藤対処方略の「譲歩」と「攻撃」への影響は有意な結果がみられなかった。関係性認知の「重要性」が「対話」に弱い正の影響(β=.215, p<.05)を、「不確実性」が「回避」に弱い正の影響(β=.246, p<.05)をおよぼしていることが明らかになった。
2-2.葛藤重大度が対人葛藤対処方略に及ぼす影響
葛藤重大度が対人葛藤対処方略に及ぼす影響を検討するために、葛藤重大度として扱った2下位尺度を独立変数、対人葛藤対処方略の4下位尺度をそれぞれ従属変数として重回帰分析を行った。
恋人群では、対人葛藤対処方略の「攻撃」と「回避」において葛藤重大度からの影響はみられなかった。また、葛藤重大度の「葛藤重大度相手」も対人葛藤対処方略には影響をおよぼしていないことがわかった。「葛藤重大度自分」は「譲歩」に弱い負の影響(β=-.295, p<.01)を、「対話」に弱い正の影響(β=.239, p<.05)をおよぼしていることがわかった。
異性友人群では、対人葛藤対処方略の「譲歩」と「攻撃」において葛藤重大度からの影響はみられなかった。葛藤重大度の「葛藤重大度自分」が対人葛藤対処方略の「対話」に弱い正の影響(β=.204, p<.05)を、「回避」に正の影響(β=.313, p<.01)をおよぼしていることがわかった。「葛藤重大度相手」においては、対人葛藤対処方略の「回避」に弱い負の影響(β=-.236, p<.05)をおよぼしていることがわかった。
2-3.対人葛藤対処方略が対人葛藤結果に及ぼす影響
対人葛藤対処方略が対人葛藤結果に及ぼす影響を検討するために、対人葛藤対処方略の4下位尺度を独立変数、対人葛藤結果の2下位尺度をそれぞれ従属変数として重回帰分析を行った。
恋人群では対人葛藤対処方略の「回避」が「ネガティブ変化」に正の影響(β=.699, p<.001)をおよぼしていることがわかった。その他の下位尺度は「ネガティブ変化」に影響をおよぼしていなかった。また対人葛藤対処方略の「対話」が「ポジティブ変化」に正の影響(β=.333, p<.01)を、「回避」が弱い負の影響(β=-.261, p<.05)をおよぼしていることがわかった。
異性友人群では対人葛藤対処方略の「譲歩」(β=.202 p<.05)と「回避」(β=.537, p<.001)がネガティブ変化に正の影響をおよぼしていることがわかった。また「対話」がポジティブ変化に正の影響(β=.425, p<.001)を、「回避」が弱い負の影響(β=-.203, p<.05)をおよぼしていることがわかった。