要旨

 本研究では親密な関係として恋人関係と異性友人関係を取り上げ、それらの関係崩壊をもたらす要因として対人葛藤に着目した。対人葛藤が起きた際に対処方略選択に影響を与えるものとして関係性認知、葛藤重大度の観点から検討した。また葛藤後に関係にポジティブな変化を与える対処方略は何なのかについても検討した。
 その結果、葛藤重大度においては「葛藤重大度自分」のみが対処方略選択に影響を与えていることがわかった。相手との関係を大切だなどと認知する「重要性」が対処方略選択に最も影響を与えていることが明らかとなった。その「重要性」を介して、恋人関係では「譲歩」方略をとりやすいということも明らかになった。異性友人関係においては「譲歩」方略、「対話」方略、「回避」方略が正の相関を示したことから、葛藤その時々で個人が最良の対処方略を選択している可能性が示唆された。
 葛藤後にポジティブな変化をもたらす対処方略としては、恋人関係においても異性友人関係においても「対話」方略が最も有効だということが示された。

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