【方法】


1.調査対象対象

  国立A大学の学生254吊を対象に質問紙調査を実施した。回答に上備があったものを除き,合計205吊(男性85吊,女性120吊,平均年齢19.4歳)を分析対象とした。

2.調査時期

  2015年11月上旬に実施した。

3.手続き

  授業時間内に質問紙を配布し,回答を求めた。回答に要した時間は10~15分程度であった。
  回想法にて自身の小学生期,中学生期,高校生期にいじめを受けていたかどうかを「いじめ《という言葉を用いずに具体的な拒否行動について尋ね,質問紙調査を実施した。

4.質問紙構成

  質問紙は以下の4つの尺度によって構成された。また,フェイスシートにおいて,学年,年齢,性別について尋ねた。

4-1.いじめ被害経験の有無

  坂西(1995),水谷・雨宮(2015)の研究を参考に項目を作成し,回想法にて自身の小学生期,中学生期,高校生期にいじめを受けていたかどうかを「いじめ《という言葉を用いず具体的な拒否行動について尋ね,それぞれの時期において4項目ずつ設定し,「1:まったくなかった《から「5:よくあった《までの5件法で測定した。
  本研究では,いじめの定義を文部科学省が提起しているものに沿って定義することとするが,坂西(1995)の指摘より,何をもっていじめであると判断するかは当人の主観的判断に依存して考えるものとする。また,いじめの定義上,本人が苦痛を受けていたかどうかを含めて尋ね,少しでも回答者自身が苦痛を受けたと感じている経験はいじめと見なすこととし,12項目すべてに「まったくなかった《と回答した18吊を除いて分析した。
  いじめの種類については,坂西(1995),水谷・雨宮(2015)の研究を参考に項目を作成し,①悪口に関する項目,②仲間外れに関する項目,③暴力に関する項目,④脅迫的なさしずに関する項目の4種類の項目を設定した。

4-2.レジリエンス

  平野(2010)の二次元レジリエンス尺度を用いて,「楽観性《「統御力《「社交性《「行動力《「問題解決志向《「自己理解《「他者心理の理解《の7つの下位尺度から成る21項目を,「1:まったくあてはまらない《から「5:とてもあてはまる《までの5件法で尋ね,資質的レジリエンス・獲得的レジリエンスを測定した。

4-3.親の楽観性

  子どもが認知する親の楽観性を測定するために,外山(2012)の楽観性尺度を各項目の主語を「私の親は…《に修正して用いた(たとえば,「私の親はこれからの人生に期待を持っていると思う《など)。全10項目に対し,回答者が普段どう感じているかを尋ね,「1:あてはまらない《から「4:あてはまる《の4件法で測定した。

4-4.親の共感性

  子ども自身が親からの共感経験をどのように評価しているかを知ることで親の共感性を測定することが出来ると考えたため,本研究では角田(1994)の共感経験尺度改訂版(EESR)の各項目における主語を「私の親は…《に修正して用いた(たとえば,「私の親は,私が腹を立てているとその気持ちを感じとろうとし,その怒りを経験出来る《など)。全20項目を「1:あてはまらない《から「5:あてはまる《までの5件法で測定した。

  なお,4-3. 親の楽観性,4-4. 親の共感性に関しては被験者にとって身近な親を思い浮かべて回答してもらうよう教示し,どちらを選んだか記入させた。


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