1.はじめに

空想とは外的現実の世界とは異なる世界を創造し、心にそのイメージを思い描く行為(村上・松下,2009)のことである。

空想と言う行為をする人の中でも、楽しい空想や、自分のためになる空想を行う人と、嫌な空想をして、憂鬱な気持ちになる人がいる。 空想をうまく日常生活に取り入れられるか否かは何によって決定されるのだろうか。

松井・小玉(2004)は、個人の空想に関する様々な特徴を測る多面的空想特徴質問紙を作成し、それぞれの下位尺度と精神的健康との関連を検討している。 多面的空想特徴質問紙では、具体的には空想内容や空想する状況、空想の役割・影響等を測ることができる。

この研究では、精神的健康が高い人は、自分が賞賛されたり、能力を発揮したり、今いる場所とは違う情景等について空想し、空想をシミュレーションに活用したり、満足感や癒しを得ている。 また、精神的健康が低い人は不安な時やつらいことがあったときに空想し、失敗したり、不幸な目にあったりするような内容の空想をし、空想の役割をネガティブなものとしてとらえていることが明らかになっている。