5.完全主義の認知
齋藤・沢崎・今野(2008)は、抑うつの脆弱要因(失敗過敏・行動疑念)を不適応的完全主義とし、それらとネガティブな反すうの関連を見出した。
また、パス解析によって不適応的完全主義から他者および自己への攻撃性に至るまでのプロセスも検討している。
潜在変数間の影響関係について、「不適応的完全主義」から「ネガティブな反すう」に正の影響関係がみられ、「ネガティブな反すう」は「抑うつ」に正の影響を及ぼすという結果を得た。
伊藤(2004)によれば、
完全主義といった心理的要因だけでは抑うつの持続、重症化は起こらず、
抑うつの持続・重症化が引き起こされるには、ネガティブな反すうが介在すると示唆しており、齋藤・沢崎・今野(2008)の調査結果はこれを支持した。
ここで、自己志向的完全主義が抑うつの持続・重症化を引き起こす際、ネガティブな反すうだけでなく空想の様々な特徴が介在していることも考えられる。