要旨




 本研究では、空想がネガティブ・ポジティブどちらに結び付くかについて、自己志向的完全主義の2面性に着目して空想が性格特性によってどのような影響を受けるのかということと、自己志向的完全主義と空想の様々な特徴が、精神的健康に影響を与えるプロセスについて検討することを目的とした。
その結果、失敗過敏が高い人、行動疑念が高い人は「空想内容」不幸・不運遭遇的空想を行うことが多いことが示された。 また、行動疑念が高い人は人生俯瞰的空想を行うことが多いことが示された。

高目標設定が高い人は「空想する状況」快状況時空想を行うことが多いことが示された。 また、行動疑念が高い人は不快状況時空想を行うことが多いことが示された。

高目標設定が高い人は「空想の役割・影響」未来対処のために空想を行う人が多く、ポジティブ影響が高いと考えていることが示された。また、失敗過敏が高い人はネガティブ影響が高いと考えていることが示唆された。 また、失敗過敏が高い人は未来対処のために空想を行うことが少ないことが示唆された。 また、自己志向的完全主義が空想内容、空想の役割・影響、空想する状況を媒介として、精神的健康に影響を及ぼしている可能性が示された。