要旨
本研究の目的は、恋愛イメージ尺度と恋愛経験の関係、恋愛経験とLove尺度との関係、恋愛イメージ尺度とLove尺度との関係を明らかにすることにより、恋愛経験が、青年期後期にあたる若者が抱く「恋愛イメージ」に及ぼす影響と、「恋愛相手」への感情と「異性友人」への感情の違いを検討することであった。
現在の恋人の有無は、恋愛イメージ「大切・必要」「刹那的・付加価値」「相互関係」を抱く強さ、異性友人へ抱くLoveの強さに影響することが明らかとなった。また、恋愛イメージ「献身的」を抱く強さにも影響しているのではないかということが示唆された。
交際経験の有無は、恋愛イメージ「大切・必要」「相互関係」を抱く強さ、恋愛相手へ抱くLoveに影響することが明らかとなった。
また、恋愛イメージ「独占・束縛」を抱く強さにも、影響しているのではないかということが示唆された。
恋愛イメージ下位尺度において、恋愛イメージ「刹那的・付加価値」高低のみが、Love得点に影響していないことが明らかになった。
しかし、単純主効果の検定の結果、「恋愛相手」へ抱くLoveにおいては有意であることがわかった。Loveの強さは、誰にLoveを抱くかによって異なるということが明らかになった。
Loveの対象「恋愛相手」では、すべての恋愛イメージ下位尺度が影響を及ぼすということが明らかになったが、「異性友人」では、「衝動・盲目的」「献身的」のみ、影響を及ぼすということが明らかになった。
この結果より、恋人をもつことによって、恋愛に対して、恋愛相手の魅力よりも、「恋愛している自分」に魅力を感じるといったような、恋愛の上辺だけを捉える感情が弱くなり、恋愛相手に尽くしたいといったような、恋愛に対してより深く関わりたいといった感情が強くなるということが考えられる。また、交際経験を経ることによって、相手を独占したいといった感情が強まることが示唆される。
このイメージがマイナスに働くと、交際することに対して「面倒くさい」などといったイメージが強くなり、「恋愛離れ」の原因ともなるのではないかと考えられる。
相手の存在が必要不可欠であると感じ、協力していきたいといった感情が強まることが、「友人」から「恋愛相手」へと変化する理由となっているのではないかということが考えられる。
また、恋愛経験を経ていく毎に、「恋愛相手へのLove」が明確になっていき、それに伴って、「異性友人へのLove」も明確になってくるのではないかということが考えられる。
恋人をもたない状況下でも異性へのLoveが高まるといったことも示唆され、女性が「彼氏と別れた時に寂しかった」「失恋した」時に、「ソフレ」をもちたくなる理由には、恋愛経験によって変容する、異性へ抱くLoveが影響しているのではないか、と考えられる。
また、恋愛イメージ「衝動・盲目的」「献身的」が、「恋愛相手」と「異性友人」の違いに影響を及ぼしているのではないかと考える。
このことより、恋愛に対して、「周りが見えなくなる」「尽くす」といったイメージのみが強い場合の相手に抱くLoveは「異性友人」への感情であり、その感情に「必要だ」「協力」といった比較的ポジティブなイメージが強く加わっていくことによって、相手へ抱くLoveが、「恋愛相手」へと変化するのではないかと考えられる。
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