大学生の自己概念尺度の構成と信頼性の検討
平松(2008)の大学生向け自己概念尺度を基に、自己評価、反映的自己評価、行動志向性それぞれについて下位尺度を構成した。
下位尺度の内容は「運動能力」「容姿」「友人関係」「品行」「学業の能力」であり、すべて3項目で構成されている。
本研究では、平松(2008)が作成した大学生向け自己概念尺度の同一の項目を基にして、自己評価、反映的自己評価、行動志向性の3側面を測定している。
下位尺度毎にそれぞれ自己評価、反映的自己評価、行動志向性のいずれを指すかを区別するために、
「運動能力の自己評価」「運動能力の反映的自己評価」「運動能力の行動志向性」といったように命名することとする。
自己評価、反映的自己評価、行動志向性それぞれについて、各下位尺度の平均値および標準偏差を算出したところ、Table1の通りとなった。
また各尺度における内的整合性を検討するために、Cronbachのα係数を算出したところ、すべての下位尺度において十分な値が得られた(Table1)。
Table 1 大学生の自己概念尺度の下位尺度における平均値、標準偏差および信頼性
CS尺度の信頼性の検討
個人のパーソナリティとして他者志向的であるか自己志向的であるかを検討するために、
山本(1989)が作成したCS尺度の31項目のうち、C尺度については下位尺度の「他者欲求への敏感さとその充足の優先」を、
S尺度については下位尺度の「自己主張の強さ」を選択し、それぞれC尺度、S尺度として使用した。
C尺度は9項目、S尺度は5項目から構成されている。
内的整合性を検討するために、Cronbachのα係数を算出したところ、C尺度でα=.83、S尺度でα=.69と十分な値が得られた。
抑うつ傾向尺度の信頼性の検討
日常的に感じるストレス反応や抑うつ傾向を検討するために、
川久保・小口(2015)が島悟・鹿野達男・北村俊則・浅井昌弘(1985)の作成したCES-D日本語版を基に構成した下位尺度である
「抑うつ気分」「身体的愁訴」「疎外感」「ポジティブ気分」の全19項目から各下位尺度3項目ずつを選択して使用した。
尺度の命名は川久保・小口(2015)による。内的統合性を検討するために、Cronbachのα係数を算出したところ、
「抑うつ気分」尺度でα=.62、「身体的愁訴」尺度でα=.60、「疎外感」尺度でα=.65、「ポジティブ感情」尺度でα=.46となり、
「ポジティブ感情」尺度においては十分な値が得られなかった。
そのため、項目4「これから先のことについて積極的に考えることができる」を除外し、残った項目間の相関係数を算出したところ、
やや強い正の相関(r=.42, p<.01)が見られたため、2項目で構成することとした。