今後の課題
最後に今後の課題について述べる。本研究の結果から人気者ははやしたて行動と被害者援助行動のどちらもとりやすいことが示されたが,人気者の行動選択に公正世界信念が与える影響については明らかにすることができなかった。人気者の行動に影響を与えるパーソナリティ等の要因に関するさらなる研究が求められる。
本呈示場面について,いじめ場面を想定して作成したが,子どもたちへの影響に配慮しいじめという言葉を用いずに作成したため,子どもたちがいじめと認知せず回答した可能性も考えられる。つまり,本呈示場面はいずれの行動を選択するかの選択段階以前において,そもそもいじめではなく,よって援助を必要とするような場面ではないと判断された可能性があり,いじめ認知の観点からの検討が必要であろう。また,本研究では第三者の集団内地位のみを操作するにとどまったが,今後被害者や加害者の集団内地位を含めた研究が期待される。
また,不公正信念についても過去の不公正な経験が不公正世界信念形成にどのように関連しているのかについての研究はまだなく,今後の研究が待たれるところである。