調査対象
三重県内の大学に在籍する157名(男性72名、女性85名)に質問紙調査を行った。回答に不備が見られた6名については削除し、151名(男性67名、女性84名)について分析を行った。平均年齢は、19.24歳(SD=0.93)であった。
調査時期
2016年11月中旬〜下旬
手続き
大学の講義時間内に、その講義を受講している学生に対し、大学生への意識調査である旨を告げ、質問紙を配布した。調査形式はその場で回答を求め回収する一斉配布、一斉回収の方法をとり調査を実施した。
質問紙の構成
質問紙は以下の項目によって構成された。
フェイスシート
「大学生に対する意識調査」と称し、学部、学年、年齢、性別を尋ねた。
@自我理想型・超自我型人格尺度(EI-SES)(12項目)
茂垣(2005)が独自に作成した、自我理想型・超自我型人格尺度(EI-SES)を使用した(表1)。これは、「志向性」7項目、「べきの専制」5項目の合計12項目2因子から構成された尺度であり、「志向性」得点と「べきの専制」得点の組み合わせにより、4分類の個人の志向性の性質を仮定することができる。「あなた自身にどれだけあてはまるか、最も当てはまると思う数字に1つ〇をつけてください」という教示の下、「1:まったく当てはまらない」〜「5:非常に当てはまる」の5件法で回答を求めた(Table1)。
Aわりきり志向尺度(9項目)
浅野(2010)が開発した、「わりきり志向尺度」を使用した(Table2)。
これは、「わりきりの有効性認知」5項目、「対処の限界性認知」4項目の合計9項目2因子から構成された尺度である。わりきり志向の定義は、「個人が葛藤状態にある際に目標レベルでの諦めを有する個人傾向」であり、葛藤状態における個人の諦めに対する認知傾向を測定できると考えられる。「あなたが、『不満に感じること』や『納得のいかないこと』、『悩んでいること』について考え込んだ時、以下のようなことをどの程度考えますか。最も当てはまると思う数字に1つ〇をつけてください。」という教示の下、「1:全く当てはまらない」〜「7:非常に当てはまる」の7件法で回答を求めた。
BCES-D Scale(20項目)
Radloff(1977)が作成したthe Center for Epidemiologic Studies Depression Scale (CES-D Scale) の邦訳版(島・鹿野・北村・浅井,1985)を、個人の抑うつ傾向を測定するために使用した(Table3)。 「この一週間あなたのからだや心の状態についてお聞き致します。まず下の20の文章を読んでください。各々のことがらについて、もしこの1週間でまったくないか、あったとしても1日も続かない場合はA、週のうち1〜2日ならB、週のうち3〜4日ならC、週のうち5日以上ならD、のところに1つ〇をつけてください。」という教示の下、20項目のことがらについて「A:1日未満」「B:1〜2日」「C:3〜4日」「D:5日以上」の4件法で回答を求めた。回答をA:0点、B:1点、C:2点、D:3点で得点化し、合計得点を最低は0点、最高は60点で算出し、得点が高いほどうつ状態が重い。cut-off point は16点である。
C時間的展望体験尺度(20項目)
白井(1994)が作成した時間的展望体験尺度を個人の過去・現在・未来のイメージを測定するために使用した。(Table4)
これは、「現在の充実感」5項目、「目標指向性」5項目、「過去受容」、「希望」4項目の4因子の合計20項目4因子で構成された尺度である。「目標指向性」因子に関しては、EI-SESの「志向性」因子と非常に似た概念であるため、以降の分析においては用いないこととする。「あなた自身にどれだけ当てはまるか、最も当てはまると思う数字に1つ〇をつけてください。」という教示の下、18項目のことがらについて、「1:当てはまらない」〜「5:当てはまる」の5件法で回答を求めた。