方法


1.調査対象
 研究目的と調査内容への同意が得られたA大学の学生34名(男性11名,女性23名,計34名)を対象に調査を行った。本研究では,そのうち,あこがれの人を想起した人,合計32名(男性9名,女性23名),平均年齢19.9歳(標準偏差=1.0)を分析対象とした。


2.調査時期
 2016年11月上旬から11月下旬にかけて実施した。


3.調査方法
 質問紙とインタビューによる調査を行った(Figure1参照)。 調査開始前に,研究目的や実施内容,倫理面の配慮について説明し,調査協力者の許可を得てビデオカメラでインタビュー内容を録音した。最初に質問紙に回答してもらった。 その後,一人あたり平均10分のインタビューを行った。インタビューはプライバシーを考慮し,個室で実施した。インタビュー後,質問紙に回答してもらった。全体の調査時間は一人あたり平均30分であった。
 インタビューの質問項目は以下の通りであった。
(a)現在,あこがれている人はいますか。
(b)誰にあこがれていますか。
(c)いつ頃からあこがれるようになりましたか。
(d)どのようなところにあこがれていますか。
(e)どうしてあこがれるようになったのですか。
(f)普段からその人のことを意識しますか。どのような時に意識しますか。
(g)意識した時,どのようなことが起こりますか。自分の中で心情面や行動面の変化はありますか。
(h)あなたにとって「あこがれ」とはどのようなものですか。その変化によって,周りに変化は起きますか。
 インタビューでは,(a)から(h)の質問の順に回答してもらった。



Figure1 本研究の調査の流れ


4.質問紙の構成
 質問紙は以下の2つの質問項目によって構成された。インタビュー後の質問紙では,2つの質問項目に加えて「調査について感想をお書きください。」といった調査の感想を尋ねた。また,フェイスシートにおいて,学部,学年,学科,年齢について尋ねた。

4-1.自己成長主導性
 主導的な自己成長を測るために,コ吉・岩崎(2014)の自己成長主導性尺度U(PGIS-U)日本語版を用いて,「積極的な行動」「計画性」「変化への準備」「資源の活用」の4つの下位尺度から成る16項目を,「1:全く当てはまらない」から「6:かなり当てはまる」の6件法で測定した。

4-2.20答法
 あこがれの人を想起することで,自分自身に関する状態や気持ちが変化するかどうかを検討するために,山田(1989)の研究を参考に,次のような教示を用いて20答法を実施した。


『“自分のこと”ということで,あなたの頭に浮かんで来たことを,20項目以内で「私は   。」につづけるようにして,上から順に書いてください。どういうことを書いたらよいとか,いけないということはありませんので思いつくままに自由に書いてください。思いつかなくなったら,その時点で止めてもらって構いません。』


 また,山田(1989)の研究にならい,記述のための時間は特に制限しなかった。


5.倫理的配慮
 調査協力者に研究の趣旨,調査データの利用範囲,プライバシーの保護,研究への参加と撤回について記載した文書を渡し,口頭で説明した。インタビュー内容は調査協力者の許可を得てビデオカメラで録音し,逐語録をローデータとして利用した。


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