A市内の中学生240名(男性122名,女性111名,無回答7名)に質問紙調査を行った。回答に不備があったものを除き,合計226名(男性119名,女性107名,平均年齢13.28歳)を分析対象とした。
2016年10月下旬から11月下旬
(手続き)
質問紙による調査を行った。質問紙はA市内の中学校4校に配布した。
友人グループを「普段学校で一緒に行動したり,遊んだりする友人関係」とし,学校での友人グループの人数が自分を含めて何人かについて,「1〜2人」・「3〜5人」・「6〜8人」・「9人〜」で回答を求めた。
3-2.青年版心理的居場所感(20項目)
友人グループの中での居場所に対する感情を測定するために,青年版心理的居場所感尺度(則定,2007)を使用した。「本来感」(4項目)と「役割感」(6項目)と「被受容感」(6項目)と「安心感」(4項目)の4つの下位尺度から構成される。「本来感」とは,「自分が自分である」あるいは「自分らしくいられる」といった自尊感情を測定する項目である。「役割感」とは,「必要とされている」「役に立っている」といった居場所に対する感情が見られる項目である。「被受容感」とは,「ありのままの自分を受け入れられている」「自分らしくいられる」といった居場所に対する感情が見られる項目である。「安心感」とは「落ち着く」「ホッとする」「安心する」といった居場所に対する安心感が見られる項目である。本研究では,中学生でも答えられるように項目の一部を修正し,5件法(「まったくそう思わない(1点)」「そう思わない(2点)」「どちらともいえない(3点)」「そう思う(4点)」「とてもそう思う(5点)」)で回答を求めた。
友人グループに対する感情を測定するために,仲間集団指向性尺度を使用した。「固定的な集団指向」(8項目)と「独占的な親密関係指向」(5項目)の2つの下位尺度から構成される。「固定的な集団指向」とは,成員の流動性が小さい固定化した友人グループに対する感情を背景に,自分が所属する友人グループに所属していない人に対する排他的な考え方や行動傾向の強さを示した項目である。「独占的な親密関係指向」とは,特定の友人との親密な関係を背景に,その関係に属さない人に対する排他的な考え方や行動の強さを示した項目である。友人グループのメンバーに対する感情を測定するために,感情の対象を友達グループに修正し,さらに項目の一部を修正して使用した。全ての項目を5件法(「まったくそう思わない(1点)」「そう思わない(2点)」「どちらともいえない(3点)」「そう思う(4点)」「とてもそう思う(5点)」)で回答を求めた。
三島・橋本(2016)によって作成された仲間集団指向性尺度を,大西・黒川・吉田(2009)が作成した罪悪感予期を測定する項目を参考にし,項目の文末を「申し訳ないと感じる」に修正して使用した。「固定的な集団指向に対する罪悪感」(8項目)と「独占的な親密関係指向に対する罪悪感」(5項目)の2つの下位尺度から構成される。「固定的な集団指向に対する罪悪感」とは,自分が所属する友人グループに所属していない人に対する排他的な考え方や行動をとることに対する罪悪感予期を測定するための項目である。「独占的な親密関係指向に対する罪悪感」とは,特定の友人との親密な関係を背景に,その関係に属さない人に対して排他的な考えや,行動をとることによる罪悪感予期を測定するための項目である。友人グループのメンバーに対する罪悪感を測定するために,感情の対象を「友達グループ」に修正し,罪悪感を感じる対象を明確にするために,グループ内の人に対する質問とグループ外の人に対する罪悪感を分けて尋ねた。5件法(「まったくそう思わない(1点)」「そう思わない(2点)」「どちらともいえない(3点)」「そう思う(4点)」「とてもそう思う(5点)」)で回答を求めた。