最後に今後の課題を挙げる。本研究では,心理的居場所感と罪悪感予期が仲間集団指向性に及ぼす影響について検討した。先行研究では対人場面における罪悪感と共感性に関連があることが示唆されており(石川・内山,2002),友人グループ内の人であるかどうかで態度を変える行動傾向に影響を与えると考えられる。共感性を含め,友人グループ外の人を排他することに影響を与える要因を検討していくことで,中学生の友人関係の実態の理解につながるであろう。また,先行研究から,心理的居場所感には性差があり,友人関係において重要となる居心地の良さを感じる要因となるものが,性別によって異なることが報告されている。したがって性別で分けて,心理的居場所感の下位尺度別に分析を行うことで,性別の違いによる友人関係の実態をより知ることができたと考えられる。本研究では友人グループの人数を,1人〜2人,3〜5人,6人〜8人,9人以上と分けて尋ねた。同じ区分に分けた3〜5人においても,3人グループなのか5人グループなのか,また偶数人数のグループであるか奇数人数のグループであるかによってもグループの実態は大きく異なるものであると考えられる。グループサイズについての検討も必要であろう。