要旨

【要旨】


  遠慮すること・察することは,日本文化的なコミュニケーションの一つだと考えられている。 本研究は,そのような「遠慮・察しコミュニケーション《をスキルとして捉え,青年期の対人関係における相手との親密性や個人のパーソナリティ,および対人関係のスキルと遠慮・察しコミュニケーションとの関連について検討したものである。 その結果,友人関係志向性の高さが,スキルとしての適切な遠慮・察しコミュニケーションをもたらすことが確認された。さらに,対人恐怖傾向が,過剰で上適応的な遠慮・察しコミュニケーションをもたらすことが確認された。対人関係のスキルと遠慮・察しコミュニケーションの関係は,全体的に高い正の相関を示した。一方では,過剰で上適応的な遠慮・察しコミュニケーションスキルに影響をもたらす対人関係のスキルも存在した。過剰で上適応的と考えられる遠慮・察しコミュニケーションが,状況によっては対人関係のスキルと捉えられることが示唆された。親密性だけでなく状況も統制すること,対人関係スキルを個別に検討することが,今後の大きな課題となる。


問題と目的へ進む

卒論・修論一覧のページへもどる

Top