1. 被服行動尺度の因子分析
自己呈示に関わる被服行動尺度の項目ごとの記述統計量から天井効果,フロア効果のみられた22項目を削除した。また,被服における色の選択においては,被験者の自己呈示の傾向だけでなく,個人の好みも反映されると考えられるため,色に関する4項目を削除した。削除項目数が多く,尺度が構成された2003年と現在の被服行動の実態が変わっている可能性が考えられるため,因子構造の再検討を行った。「装いにおけるジェンダー(女らしさ)志向」・「装いにおけるブランド・流行志向」・「装いにおけるカジュアル志向」・「装いにおける社会儀礼志向」・「装いにおける個人的趣味志向」・「装いにおける奇抜さ志向」はそれぞれが独立した根拠により被服行動に表れていると考えられるため,因子分析(主因子法,バリマックス回転)を行った(Table1)。
その結果,先行研究とは異なる7因子が抽出されたため,項目数の少ない1因子を除いた6因子を採択した。また,被服によって呈示したい自己尺度でもフロア効果の見られた1項目を削除した。因子の命名は先行研究の因子を参考にして,以下のように行った。
第1因子は,「流行の服を着る」,「雑誌に載っているような服を着る」,「最新のファッションを試す」などの項目の因子負荷量が高くなっていたため,『装いにおける流行志向』と命名した。
第2因子は,「周囲の人に失礼にならないような服を着る」,「社会的にふさわしい服を着る」,「TPO(時間・場所・目的)にあった服を着る」などの項目の因子負荷量が高くなっていたため,『装いにおける社会儀礼志向』と命名した。
第3因子は,「自分の好きなブランドの服を身に付ける」,「好きなお店で買った服を着る」「人気のあるブランド品を身に付ける」などの項目の因子負荷量が高くなっていたため,『装いにおけるブランド志向』と命名した。
第4因子は,「髪を伸ばす」,「髪を短くする」,「男性的な服を着る」の3項目であり,『装いにおけるジェンダー志向』と命名した。
第5因子は,「カジュアルな服装をする」,「気軽な服を着る」,シンプルな服を着る」,「スニーカーをはく」の4項目であり,「装いにおけるカジュアル志向」と命名した。
第6因子は,「人とは違う服装をする」,「デザインの凝った服を着る」,「大きめの(ラフな)服を着る」の3項目であり,『装いにおける個性志向』と命名した。
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