6.本研究の目的
ロールレタリングは,専門機関にかかる必要なく,低コストで安全かつ自助的に精神的健康を促進させることを可能とする方法である。ロールレタリングに関する実践報告や実証的研究はこれまで数多く報告されている。しかしロールレタリングがどのような対象に対してより効果的なのかを検討した量的研究は見受けられない。
本研究ではロールレタリングがより効果的な対象の特徴を明らかにするために,高校生を対象に,優しく理解し温かく支えてくれる友人へ焦点化したロールレタリングにより肯定的感情・否定的感情に及ぼす効果を自己意識,自己内省,ロールレタリングの振り返りの個人差から検討することを第1の目的とする。
ロールレタリングの記述内容に関しては,事例研究や実証的研究の一例として取り上げられ,記述内容の自由度が高いのがロールレタリングの特徴ではあるが,どのような記述をする者がロールレタリングの恩恵を得やすいのかを検討した研究は見受けられない。本研究では,ロールレタリングの往信・返信の記述の記述量,記述内容によって,肯定的感情・否定的感情に及ぼす効果を検討することを第2の目的とする。